
近年、職場でのストレスや人間関係の問題が原因で、会社に行けない状態になってしまう人が増えています。
厚生労働省の令和5年度公表、「労働安全衛生(実態調査)」によると令和4年11月1日~令和5年10月31日までの期間にメンタルヘルス不調により連続して1か月以上休業した労働者または退職者がいた事業所の割合は13.5%に達しているとのこと。
単純計算すると、約10社に1社以上の割合で、1カ月以上の休業や退職を伴うメンタルヘルスの問題が発生しています。
今回は、「会社に行けない」と悩む方々が抱える問題を整理し、克服するための具体的な方法や支援体制を解説します。
【朝いきなり会社に行けなくなった】その理由とは
会社に行けなくなる理由には、なにか決定的な出来事がきっかけとなる場合もあれば、さまざまな要因が積み重なることで行けなくなることもあります。ただし、どちらの場合も共通しているのは、心や身体が限界に達しSOSを発信している点です。
多くの場合、メンタル面の不調が大きな要因として挙げられるでしょう。長期間のストレスや過労が原因で突然心身が限界に達し、会社に行けなくなったり、朝に家から出られなくなったりすることがあります。
限界の感じ方は人それぞれ異なり、同じ環境下でもストレスの程度には個人差があります。
「あの人は私よりも頑張っているのに休んでいないから、自分も休むべきではない」と考えてしまう気持ちもわかりますが、人それぞれ異なることを理解し、早めに自分の心身のSOSに気づくことが大切です。
休業(休職)者の推移
厚生労働省が2024年7月25日に公表した「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」をはじめとする過去4年間のデータによれば、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業、または退職した労働者がいた事業者の割合は毎年微増していることが示されています。
- 令和5年調査 13.5%
- 令和4年調査 13.3%
- 令和3年調査 10.1%
- 令和2年調査 9.2% (※派遣社員は含まれません)
現代はSNSなど、情報の発達やリモートワークの普及などで便利になった反面、ストレス社会と言われています。心の変化には本人が最も敏感であるため、自分のなかでSOSのシグナルを受け取ったと感じたらしっかりと向き合うようにしましょう。
会社に行けないのは「甘え」ではありません

「仕事に行けない」という状況を、「甘えかどうか」と判断するのは、人それぞれの価値観によるため、一概に甘えだと決めつけることはできません。
もし「会社に行けない」と感じたら、まずはその原因を考えてみましょう。ただし、精神的に落ち込んでいると、自分の状態を冷静に見つめるのが難しいこともあります。そんなときは、信頼できる家族や職場の同僚に相談したり、必要に応じて医療機関を受診し、客観的な判断を仰ぐことが大切です。
※こちらの記事もおすすめ:ストレスが限界で仕事を辞めたい時にすべきこと
うつ病や適応障害に見られる症状は?
「会社に行けない」という状態が続く場合、その背景にうつ病や適応障害などの精神疾患が潜んでいる可能性があります。ここでは、うつ病と適応障害それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
うつ病に見られる症状
うつ病とは、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失を主な症状とする精神疾患です。日常生活や社会生活に支障をきたすほどの症状が一定期間続く状態を指します。うつ病は誰にでも起こりうる病気であり、適切な治療を受けることで回復が可能です。
以下の表は、うつ病に見られる主な症状をまとめたものです。
厚生労働省によると、「悲しく憂うつな気分が一日中続く」「これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない」を含む5つ以上が2週間以上続いた場合は、専門家への相談を推奨してるとのこと。
精神面に見られる症状 |
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身体面に見られる症状 |
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仕事中に現れる症状 |
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※出典:うつ病|こころの病気について知る|ストレスとこころ|厚生労働省
適応障害に見られる症状
適応障害とは、特定のストレスが原因で心身のバランスを崩し、日常生活に支障をきたす状態を指します。この障害の特徴は、ストレスの原因が明確であることです。また、その出来事が起きてから3か月以内に症状が現れるというタイムラインもポイントです。
適応障害がうつ病と大きく異なるのは、ストレスの原因が取り除かれた場合に症状が改善しやすい点です。
以下の表に、適応障害に見られる主な症状をまとめました。
精神面に見られる症状 |
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身体面に見られる症状 |
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仕事中に現れる症状 |
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仕事をいきなり休んだらクビになる心配はある?
無断欠勤が2、3日続いたからと言って、それが原因で解雇される可能性は極めて低いです。
法律では「〇日以上の欠勤で解雇が認められる」といった具体的な基準は定められておらず、無断欠勤が正当な解雇理由と認められる目安はおおよそ2週間程度とされています。また、実際に無断欠勤を2週間以上続けたとしても、欠勤の理由が会社にある(ハラスメント、長時間労働など)場合は解雇が認められない可能性が高くなります。
ただし、やむを得ない状況を除き、「無断欠勤」は好ましくない対応であるのは間違いありません。会社に行けない、または行かないと判断した時点で、可能な限り会社に連絡することをおすすめします。
会社に行けなくなった場合の行動
仕事に行けなくなってしまった場合、行動できる余力があれば、以下のような対応を検討すると良いでしょう。ただし、心身が疲弊し、何もできない状態の場合は無理に動こうとせず、まずはしっかりと休むことが最も重要です。
職場の相談窓口や信頼できる上司に相談する

多くの企業では、従業員の健康管理のためにさまざまな制度を設けています。
たとえば、労働者が50名以上いる事業場では産業医(労働者の健康と快適な作業環境を支えるため、専門的立場から指導・助言を行う医師)の選任が義務付けられていおり、守秘義務があるため、面談で伝えたことが勝手に第三者に共有されることはありません。
また、メンタルヘルス対策として社内に相談窓口を設置している企業も増えています。
特定の業務や人間関係が原因で会社に行けない場合は、異動をお願いしたり、業務内容の変更を相談したりすることも有効です。職場内に相談できる窓口があることで、仕事や環境の調整など、ストレスを軽減する対策を講じることができます。
相談する際は、自分の状況を客観的に説明することが重要です。具体的な症状や、仕事に与える影響を明確に伝えることで、より必要なサポートを受けやすくなります。
働く人の「こころの耳電話相談」を利用する
「こころの耳電話相談」は、働く方々やそのご家族、さらには企業の人事労務担当者の方を対象とした厚生労働省が紹介する電話相談サービスです。
このサービスでは、以下のようなメンタルヘルスに関するお悩みや困りごとに対応しています
- メンタルヘルス不調に関する相談
- ストレスチェック制度に関する疑問や対応方法
- 過重労働による健康障害の防止策
相談内容に関わらず利用者のプライバシーは厳守されるため、安心して利用が可能。どんな方でも気軽に利用できる窓口として、心の健康や働きやすい環境づくりのサポートを行っています。
有給や休職をとってしっかり休む
体調の改善が見られない場合は、有給休暇を取得したり、休職制度を利用したりすることを検討しましょう。多くの企業では独自の休職制度を設けており、休職期間や休職中の賃金などが定められています。
休職する際は、医療機関で診断書を取得し、会社に提出します。診断書には「〇か月の休養を要する」といった内容が記載されます。これにより、長期の休職が可能となります。
注意点として、休職中であっても傷病手当金の受給申請が可能な場合があります。休職制度や各種手当の詳細については、会社の人事部門に確認することをおすすめします。休養中は心身の回復に専念し、焦らずゆっくりと復帰に向けて準備することが大切です。
退職について検討する
会社に行けない要因が会社側にあり、今後も改善が期待できない場合は退職し環境を変えるのも一案です。退職する際は引継ぎ作業を行うのが基本ですが、精神的にも体力的にも出社が難しい場合はその旨を上司や人事部門に相談して指示を仰ぐか、退職代行サービス等のサポートを利用して出社せずに退職する方法を検討してもよいでしょう。
※こちらの記事もおすすめ:「退職代行ってどうなの?」を解消!マイナス意見は日本人特有だった!?
ストレスが原因でも円満退社するポイント
退職を考える場合、できるだけ会社との対立を避け、余計なストレスを抱えずに進めたいものです。
以下、円滑に退社するためのポイントをいくつか紹介します。
- 無断欠勤しない
- 就業規則に従う
- 引き継ぎの時間を十分に確保する
- 退職の理由を会社への不満を理由にしない
これらのポイントを押さえることで、将来的なキャリアにも大きな影響を与えず、気持ちよく次のステップに進むことができます。
以降では、それぞれについて解説します。
無断欠勤しない
ストレスで会社に行きづらい状況であっても、無断で休むことは避けるべきです。無断欠勤が続くと、直属の上司だけでなく同僚や後輩など、職場全体からの信頼を失うことになります。
そのため、休む場合は必ず事前に連絡を入れましょう。体調不良で出勤が難しい場合は、その旨を伝え、回復次第出勤する意思があることを示すことが大切です。この行動が、退職時の円滑なコミュニケーションにつながり、良好な関係を保つ基盤となります。
就業規則に従う
退職に関する手続きや期間は会社によって異なるため、自社の規定を正確に把握しておく必要があります。
就業規則には、退職の申し出から実際の退職日までの期間や、必要な書類、引き継ぎの方法などが記載されています。これらを事前に確認することで、会社のルールに則った適切な退職プロセスを踏むことができ、会社への誠意を示すことにもつながるため、円満な退社に寄与します。
引き継ぎの時間を十分に確保する
引き継ぎの時間を十分に確保することで、残される同僚や後任者への配慮を示すことができます。
引き継ぎには予想以上に時間がかかることがあるため、退職の意思を伝える際には、十分な引き継ぎ期間を考慮して退職日を設定することが望ましいでしょう。
退職の理由を会社への不満を理由にしない
退職理由として会社への不満を述べることは、円満退社の妨げとなる可能性があります。代わりに、自身のキャリアアップや家庭の事情など、前向きな理由を伝えることが望ましいでしょう。
うつ病や適応障害と診断された場合は、「健康上の理由」と伝えるのが適切です。具体的には「体調を崩してしまい、医師から休養を勧められた」などと説明することができます。
退職理由の伝え方に配慮することで、会社との良好な関係を維持しつつ、自分の健康を優先する決断を示すことができます。これは将来的なキャリアにおいても有益な姿勢となるでしょう。
【24時間体制】無料で相談できる退職代行サービス
24時間いつでも相談・対応可能な退職代行サービスをご紹介します。
退職代行モームリ|業界トップクラスの知名度と実績

退職代行モームリは、株式会社アルバトロスが運営する民間の退職代行サービスです。ユニークな名前で注目を集め、退職代行サービスの認知度を高めた火付け役としても知られています。多数のメディアやYouTubeなどのSNSで取り上げられ、実際の退職代行の様子や流れが紹介されているため、その透明性が依頼を検討する人にとって安心材料となっています。
退職代行モームリの主な特徴は、民間運営のサービスでありながら、労働組合と提携しているため、企業との交渉が可能である点です。また、依頼料金がアルバイトは12,000円、正社員は22,000円からと比較的安価であり、コストを抑えたい人にとってメリットが大きいでしょう。
わたしNEXT|女性専用の退職代行

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退職代行Jobsは、民間企業が運営する退職代行サービスですが、労働組合提携・顧問弁護士の指導を受けているため、単なる退職意思の伝達にとどまらず会社との有給消化や未払い賃金の交渉も対応可能。それでいて、比較的低価格で依頼できるのが魅力です。
さらに、24時間対応で相談を受け付けており、急な相談や依頼にも柔軟に応じてくれる点は心強いポイントです。
まとめ
会社に行けない状況は、単なる甘えではなく、精神的な病気のサインかもしれません。うつ病や適応障害などの症状を理解し、早期に適切な対処をすることが重要です。職場の相談窓口や上司に相談する、有給や休職を取得する、病院を受診するなど、自分に合った方法で状況改善を図りましょう。必要に応じて退職を選択する場合も、円満な退社を心がけることで、将来的なキャリアにも良い影響を与えます。自身の健康を最優先に考え、適切な行動を取ることで、より充実した職業生活を送ることができるでしょう。

株式会社Amazia Link
LogsFix編集部
本記事はLogsFixを運営する株式会社Amazia Linkが企画・監修を行いました。