退職代行とは?利用手順やメリット・デメリット、「何をしてくれるのか」まで徹底解説

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公開日:2024.10.23

目次

仕事を辞めたいと思っているのに、なかなか言い出せない

そんな経験はありませんか?

退職の悩みを抱える多くの方にとって、退職代行サービスが新たな選択肢として注目されています。

ですが、退職代行サービスに関する情報が多すぎて、どれを信じれば良いか迷う方も多いでしょう。多くの解説記事や広告の中には、サービスを運営する代行業者が自社を有利に見せている場合も少なくありません。

本記事では、中立的な視点から退職代行の仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説しますので、信頼できる情報を探している方はぜひ参考にしてください。

退職代行とは?何をしてくれるの?

  • 会社への退職の意思表示(上司・人事・社長などへの連絡)
  • 退職届・必要書類の提出代行
  • 退職日の調整(即日退職の交渉など)
  • 有給休暇の消化交渉
  • 退職理由の伝達
  • 貸与物(制服・社員証・PCなど)の返却調整
  • 転職サポート(求人紹介・転職エージェントの案内) など

退職代行とは、従業員本人に代わって退職の意思表示や手続きを行うサービスです。退職を申し出るのが困難な状況にある方や、心理的負担を軽減したい方のために生まれました。

退職代行業者は、労働法や退職に関する専門知識を持ち、適切かつ合法的に退職手続きをサポートするため、ストレスフリーな退職を望む方々にとって心強い味方なのです。

退職代行サービスのしくみ

退職代行の基本的なしくみは以下のとおりです。

退職代行サービス,仕組み

退職を希望する従業員が退職代行業者に連絡し、状況を説明します。業者は依頼者の要望や状況を詳しくヒアリングし、適した退職プランを提案。その後、退職代行業者が依頼者に代わって会社側と連絡を取り、退職の意思を伝えます。

退職代行の必要性が高まった背景

退職代行,必要性

退職代行サービスの需要が高まった背景には、現代の労働環境の変化があります。長時間労働やパワーハラスメントなど、職場のストレスが社会問題化する中、退職を申し出ることへの心理的ハードルが高まっているためです。

また、「ブラック企業」と呼ばれる、従業員の権利を軽視する企業の存在も、退職代行の必要性を後押ししています。

Googleトレンドによると、「退職代行」というキーワードの検索数は2018年ごろから増加し、2024年現在も高い注目を集め続けています。

ワークライフバランスを重視する価値観の広がりや、転職市場の活性化も影響しているでしょう。

上記の要因が重なり、専門家のサポートを得て確実に退職したいという方々のニーズが高まり、退職代行サービスの市場が拡大しているのです。

退職代行業者の種類と相場

退職代行業者には主に3つの種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

民間運営の退職代行(1万円〜3万円)

民間の退職代行サービスは、最も一般的な形態です。民間業者は、退職に特化したサービスを提供し、迅速な対応が特徴です。

24時間365日対応している業者も多く、急な退職希望にも柔軟に対応できます。

料金体系も明確で、定額制を採用している業者が多い傾向にあります。ただし、法的な権限はないため、弁護士の業務範囲に該当することはできないことに注意が必要です。

民間企業運営がおすすめのひ

できるだけ料金を抑え、退職の意思を伝えるだけで十分な人

労働組合運営の退職代行(2万5千円〜3万円)

民間企業の退職代行より対応範囲が広いため、勤務先に退職の意思を伝えてもらう以外の希望がある人は、労働組合か弁護士が運営元の退職代行を検討しましょう。

労働組合は「団体交渉権」や「団結権」を行使し、勤務先と「退職日の調整」や「未払い賃金の請求」などの交渉が可能です。ただし、裁判になった場合の法的対応は行えません。

勤務先に対する訴訟や慰謝料の請求のほか、法的なトラブルに発展する可能性がある場合は弁護士への相談が安心でしょう。

労働組合運営がおすすめのひ

勤務先が退職願いを受け入れてくれない場合や、有給休暇の取得・退職金の支払いなどの交渉が必要な人

弁護士運営の退職代行(3万円~10万円)

弁護士による退職代行は、法的な観点から最も確実なサポートを受けられる点が特徴です。

労働問題に精通した弁護士が、退職に関する交渉や手続きを代行します。そのため、複雑な労働問題を抱えている場合や、訴訟の可能性がある場合に特に有効です。

ただし、費用が他の選択肢と比べて高額なサービスが多く、内容によっては成功報酬が加算される業者も存在します。また、対応に時間がかかる場合もあるため、緊急性の高い退職には向いていないことがあります。

弁護士運営がおすすめのひ

訴訟問題に発展する可能性のある人や、有期雇用で契約期間満了前に辞めたい人

弁護士運営の退職代行について詳しくはこちら

退職代行の使い方・流れ

上記の7つのステップについ解説します。

【1】退職代行を選び無料で相談する

退職代行サービスの利用を検討している場合は、無料相談を活用しましょう。一部の退職代行業者は、24時間365日対応しているため、土日祝日や不規則な勤務時間の方でも相談が可能です。

相談方法は主にLINE、メール、電話があります。

【2】打ち合わせを行い、ヒアリングシートを記入する

ヒアリングシートとは、退職代行業者が依頼者の情報や退職に関する希望を把握するために用意する質問票です。

シートと言っても、LINEを通じて質問に答える形式が一般的です。

退職代行のヒアリングシート

退職代行サービスの担当者が実際に会社に連絡する際に必要なので、正確に入力しましょう。

また、会社に伝えておいてほしいことがあれば、この段階で退職代行業者に伝えておきましょう。

【3】料金を支払い、契約を締結する

退職代行サービスの利用を決定したら、次は料金を支払います。多くのサービスでは前払い制となっており、支払い方法は銀行振込とクレジットカード決済が主流です。

銀行振込を選択する場合は、振込の時間帯や曜日によっては、入金確認が翌営業日になることがあるため注意しましょう。即日退職を希望する場合は、クレジットカード決済が可能な業者を選ぶことをおすすめします。

なお、一部の退職代行サービスでは「後払い」できるものも増えています。即時の支払いが困難な方や、サービスの結果に応じて料金を支払いたい方向けのオプションです。

退職代行モームリなど、後払いを選択した場合に手数料を追加で徴収するサービスもあるのでよく確認しましょう!

※詳しくはこちら:【後払い可能】退職代行サービスのおすすめ5選!

【4】最終・直前の確認

退職の連絡をする直前に、「これから連絡します」など、代行業者から報告があります。

依頼者が特別に対応することはありませんが、会社からの反応や質問について退職代行業者から連絡が入るため、すぐに確認できる場所にいると安心です。

【5】退職代行業者が会社へ連絡する

ヒアリングシートの内容をもとに、退職代行業者が会社へ連絡を取ります。

交渉の内容によっては、1回の連絡で終わることもあれば複数回のやり取りが必要になる場合もあります。

【6】退職書類の手続きや貸与物を返却する

退職代行業者と会社との間で話し合いがまとまれば、具体的な退職日が決まり、退職に向けた取り決めが行われます。この段階で、会社への退職届の提出や貸与品・備品の返却を行います。

なお、退職届の郵送は依頼者本人が行うのが基本です。

返却が必要な物品には、健康保険被保険者証、社員証、会社の鍵、パソコン、携帯電話、制服などがあります。これらは郵送で返却することができるので、直接会社に出向く必要はありません。

退職が完了すると、会社から以下などの書類が送られてきます。

  • 離職票
  • 雇用保険被保険者証
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 源泉徴収票
  • 年金手帳

これらの書類は転職時や失業保険の手続きに必要となるので、確実に受け取りましょう。万が一、書類が届かない場合は、退職代行業者に相談してください。

【7】退職完了

書類の手続きや備品の返却が完了すれば、退職手続きは完了です。

退職代行サービスを利用する効果・メリット

退職代行を利用するメリットを紹介します。

1、気まずさなど心理的ストレスを減らして退職できる

一般的に退職する際は、上司に退職の話を切り出し、会社とよく話し合って退職します。退職の話が思うように進まなかったり、パワハラやヤメハラまがいな発言をされたりするケースも多々あるため、心理的ストレスを受けることも。

しかし、退職代行であれば、退職の意向を第三者に伝えてもらえるうえ、有休消化の意思表示も伝えてもらえるため、心理的ストレスを減らしつつ希望の条件で退職できます。

2、最短で退職できる

退職を申し出る場合、法律上は最短2週間で退職することが可能です。

しかし、多くの会社では1か月~2か月前の予告が規定されており、自分から、「法律に則って2週間で退職します」とは伝えにくと感じる人も多いでしょう。

一方、退職代行サービスを利用すれば、希望を伝達してもらえるため最短で退職できるケースがほとんどです。

3、強引な引き留めや嫌がらせを避けられる

自ら会社に退職の意向を伝えて退職する場合は、引き止められたり、理由を聞かれたりするケースも少なくありません。詳しい退職理由を伝えても納得してもらえず、結局退職できない可能性もあるでしょう。

退職代行であれば、本人との直接的なコミュニケーションがない分、会社側も引き止めるチャンスや意欲が少なくなり、高い確率で退職できます。

4、弁護士に依頼をすることで未払いの給与や慰謝料請求もできる

弁護士による退職代行サービスに依頼することで、トラブル発生時に法律に基づいて対処してもらえたり、未払いの給与や慰謝料の請求をしてもらえたりもできます。

さらに会社側は弁護士から請求を受ければ、法的措置を取られることを意識し、未払給与の支払いをしてもらえる可能性が高まります。

5、退職後のサポートを受けられる

退職して終わりではなく、その後のサポートまで充実している退職代行業者も増えています。例えば、転職支援や引っ越しサービスの提供、メンタルクリニックの紹介、各種申請のサポートなど、手厚いサービスを用意しているところもあります。

そのため、「退職はできたけれど、この先どうすればいいかわからない…」と悩んでしまう方にとって、心強い支えとなるでしょう。

6、転職活動に集中できる

退職手続きをすべて外注することで、転職活動に専念できる時間を確保できます。

7、未払いの残業代や給与を請求できる

退職理由が未払いの残業代や給与の不払いである場合、弁護士が運営する退職代行サービスを利用すれば、退職手続きと未払い給与の請求を同時に進めることができます。

弁護士運営の退職代行サービスはこちら

退職代行サービスを利用する際の課題・デメリット

退職代行には以下のようなデメリットが伴う場合があるため、申し込む前に理解しておきましょう。

1、退職をするために費用が発生する

退職代行を利用するには、3万円〜5万円程度の費用がかかります。

格安サービスがあったとしても、「〇〇日に退職したい」など希望通りに退職できなかったり、失敗しても返金されなかったりするケースがあるため、おすすめできません。

2、依頼先によっては未払い給与や有休消化の交渉をしてもらえない

退職代行サービスには以下3種類の運営元が存在します。

民間企業(労働組合と未提携)が運営する退職代行サービスは、依頼者の退職意向を代わりに伝えることしかできないため拒否されてしまった場合、交渉ができません。

3、勤務先から直接連絡が来る可能性がある

会社には「利用者に直接連絡しないように」と依頼をしますが、強制力がないため、会社によっては直接連絡が来る可能性もあります。

連絡する意図として、ほとんどの場合は「本当に退職の意思があるか」の確認ですが、なかには嫌がらせ目的で連絡する会社もあるので注意が必要です。

※こちらの記事もおすすめ:会社の人が家に来ることはある?対処法や回避法を解説

4、退職に必要な書類がすぐに送られてこないことがある

退職する際には、離職票や健康保険資格喪失証明書などが発行されます。通常は退職時に受け取れますが、退職代行を利用すると、必要な書類がすぐに送られてこない場合があります。

会社側が書類を郵送し忘れてしまうほかにも、退職者を困らせるため意図的に送らないケースも少なくありません。

初めからトラブルに発展する可能性が高いほどのブラック企業に勤めている場合は、最初から「弁護士が運営する退職代行サービス」に依頼することをおすすめします。

※弁護士運営の退職代行サービスはこちら:【2025最新】弁護士運営の退職代行「おすすめ7選」

5、悪質な退職代行業者に依頼してしまう恐れがある

退職代行サービスの中には悪質な業者も存在し、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。

  • 会社に嘘の退職理由を伝える
  • 迷惑電話やメールが増える
  • 支払い後に音信不通になる

こうした被害を防ぐためにも、公式サイトだけでなく、実際の利用者の口コミや評判も確認しましょう。

6、すぐに退職できない場合もある

退職代行を利用しても、すぐに退職できないこともあります。

法的には、退職の意思表示をしてから原則として2週間で退職は成立しますが、有休の残日数がない方は、退職までの2週間を出勤するか、欠勤扱いとして処理してもらうかを会社と交渉する必要があります。

※こちらの記事もおすすめ:退職代行サービスなら「即日退職」できる!その理由や利用の流れを説明

7、勤務先への罪悪感を抱くことがある

自分で行える退職手続きに代行サービスを使うことで、勤務先への罪悪感を抱く人もいます。

お世話になった上司や同僚に感謝の気持ちを伝えずに会社を去ることや、仕事の負担をかけてしまうことに罪悪感を抱き、それが強いストレスになる場合もあります。

退職代行を利用する際の事前準備

退職代行サービスを利用する前に、以下の準備をしておくことがおすすめです。

  • 有休の残日数を確認しておく
  • 就業規則を確認しておく
  • 退職届などの書類を作成しておく
  • 会社の備品などの返却を準備しておく
  • 業務の引き継ぎ資料を作成しておく

以下で解説します。

有休の残日数を確認しておく

退職前に、自分の有給休暇の残日数を正確に把握しておきましょう。

退職日までに消化しきれなかった有給休暇は、会社側が好意で買い取ってくれる可能性もあります。

また、退職日の調整にも有給休暇を利用することがほとんどです。自分で確認するのが難しい場合は、退職代行業者に確認を依頼することも可能です。有給休暇の取り扱いは会社によって異なるため、就業規則もあわせて確認しておくと良いでしょう。

就業規則を確認しておく

退職に関する手続きや条件は、各会社の就業規則に定められています。退職代行サービスを利用する前に、自社の就業規則をしっかりと確認しておくことが大切です。

特に、退職の申し出から実際の退職日までの期間(通常は2週間から1か月)や、退職金の計算方法、競業避止義務(自分が所属する企業の競合会社への転職や、競合する会社を自ら設立するなどの競業行為を禁止すること)の有無などを確認しておきましょう。

また、就業規則を事前に把握しておくと、退職代行業者との打ち合わせがスムーズになり、より適切な退職プランを立てられます。

退職届を作成しておく

退職代行サービスを利用する場合でも、退職届は何かしらの事情が無い限り自分で準備しておきましょう。

基本的な退職届には、以下を記載します。

  • 宛先(会社名と代表者名)
  • 退職の意思
  • 希望退職日
  • 日付
  • 氏名

退職理由の記載が必要な場合は、「一身上の都合」と記載するのが基本です。

会社の備品などの返却を準備しておく

会社から貸与されている備品やデバイスの返却準備も、事前に済ませておきましょう。退職時のトラブルを防ぎ、スムーズな引き継ぎを可能にするためです。

以下の貸与品をリストアップしましょう。

  • パソコン
  • 携帯電話
  • 社員証
  • 制服
  • 会社のクレジットカード

また、備品に保存されている個人的なデータがある場合は、事前に削除または別の場所にバックアップしておきます。

会社のメールアカウントや各種システムへのアクセス権限の解除についても確認しておきましょう。

退職代行業者に貸与品リストを提供することで、返却の調整も効率的に進められます。

業務の引き継ぎ資料を作成しておく

退職する際は、自分の担当業務を円滑に引き継ぐための資料を準備します。

以下をまとめた引き継ぎ資料を作成しましょう。

  • 現在進行中のプロジェクトの状況
  • 日常的な業務の手順
  • 重要な連絡先リスト
  • アクセス権限が必要なシステムの情報

引き継ぎ資料は、後任者や同僚が混乱なく業務を継続できるようにするためのものです。

自分の責任を果たし、プロフェッショナルな姿勢を示しましょう。誠意を見せることで会社からの無駄な抵抗を避けたり、直接連絡をしてくるなどの嫌がらせを防ぐ効果も期待できます。

まとめ

退職代行サービスは、退職時の精神的負担を軽減し、スムーズな退職を実現する有効な選択肢です。上司と直接対面せずに退職できる点や、煩雑なやり取りを避けられる点など、多くのメリットがあります。

しかし、費用がかかることや、会社との関係が悪化する可能性があるといったデメリットもあるため、利用を検討する際は自身の状況を踏まえ、慎重に判断することが大切です。

退職は人生の大きな節目。自分にとって最適な方法を選び、新たな一歩を前向きに踏み出しましょう。

株式会社Amazia Link

LogsFix編集部

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