
退職を申し出ることは緊張する、勇気のいることですよね。周りに迷惑をかけたくない、上司に言いづらい、そんな理由でなかなか言い出せない方も多いはずです。
しかし、我慢して働き続けることは、精神的な負担やスキルアップの機会を逃すデメリットにもつながります。
本記事では、退職を言えない対処法、さらには退職をスムーズに伝えるためのポイントや、どうしても言えない場合の対策について詳しく解説します。
退職を言えない4つの理由と対処法

退職を言えない主な理由として、以下の4つが挙げられます。
- 人手不足で、周囲に申し訳ない気持ち
- 上司に言いづらい・気まずい
- 引き留めが怖い
- 退職後のお金や生活面の不安
それぞれの理由について解説し、効果的な対処法をご紹介します。
人手不足で、周囲に申し訳ない気持ち
退職を言い出せない大きな理由の一つに、周囲への影響を気にしてしまうことがあります。
とくに人手不足の職場は、自分が抜けることで同僚の負担が増えるのではないかという心配から、退職の意思を伝えることにより躊躇してしまうのでしょう。
「人手不足で、周囲に申し訳ない気持ち」の対処法
退職は個人の正当な権利であり、「申し訳ない」と感じる必要はありません。自分のキャリアや人生を優先することは決して悪いことではないと認識しましょう。
とはいえ、円満に退職するためには、引継ぎや残務処理への配慮も大切です。具体的には、以下のような工夫ができます。
- 引継ぎ期間を十分に確保する
- 後任者がスムーズに業務を進められるよう、引継ぎマニュアルを作成する
月ごとのルーティンワークがある場合、引き継ぎ期間を2か月(2周)確保すると、後任者も安心しやすくなります。また、業務を進める中で生じた疑問や不安を都度マニュアルに反映すれば、引き継ぎの精度も高まるでしょう。
上司に言いづらい・気まずい
上司に不満があると思われるのではないかといった気まずさや、言った後の反応を見るのが怖い、引き留められそう、退職日までの勤務を気まずいものにしたくないなどの懸念が存在します。
「上司に言いづらい」の対処法
退職の理由を明確に、前向きな表現で伝えましょう。
自己成長やキャリアアップなど、ポジティブな理由を中心に説明することで、上司の理解を得やすくなります。
さらに、引継ぎを事前に進め、資料の内容についても自分なりに検討し、具体的な提案を準備しておくことが効果的です。
- 注意点
- 直属の上司以外の人に先に退職を伝えるのは避けたほうがよいでしょう。もし第三者経由で上司に伝わってしまうと、「なぜ直接言ってくれなかったのか」と不信感を抱かせたり、上司の立場を悪くしたりする可能性があり、その後の話し合いに影響します。
引き留めが怖い
引き留められることは珍しくありません。とくに、在籍年数が長く、会社にとって重要な戦力となっている人材ほど、強く引き留められることが多いでしょう。
その理由として、社員の業務負担が増えることへの懸念や、人材を失うことへの不安が挙げられます。最近では、連鎖退職を警戒する企業も増えている傾向です。
「引き留めが怖い」の対処法
前述した前向きな退職理由を伝えることがここでも有効です。
「今の会社では実現できない夢がある」「新たに挑戦したいことがある」といった理由を伝えると、会社側も無理に引き留めにくくなります。
- 注意点
- 「どうしよう…」と迷っているような態度を見せると、引き留めが強まる可能性があります。「もう決めたことです」と、ブレない姿勢を貫くことが大切です。
※こちらの記事もおすすめ:「ヤメハラが怖くて退職を伝えられない」を解決!
退職後のお金や生活面の不安
仕事を辞めた後、生活に保証がないことが退職を躊躇させる大きな要因となります。
例えば、新しい職場で本当に給料が増えるのか、次の職場が自分に合わなかった場合に支払いが滞るのではないか、といった不安が頭をよぎることもあるでしょう。
「退職後のお金や生活面の不安」の対処法
退職前に準備をしておくことが重要です。まず、生活費として最低でも3か月分程度の貯蓄を確保することで、経済的な不安を軽減できます。
また、体調不良などで退職前に転職活動が十分にできなかった場合に備え、傷病手当や失業手当などの公的制度を利用して金銭的な支援を受けられるかどうかを事前に確認しておきましょう。
「辞めたい」を伝えないデメリット

退職を言えないことによるデメリットについて見ていきましょう。
精神的ストレス・負担の増加
退職したいと思いながらも言い出せない状況が続くと、仕事のストレスや精神的な負担が増し、心身の健康に影響する恐れがあります。
ストレスが健康に与える影響は多岐にわたり、短期的には集中力の低下や疲労の蓄積、イライラや不安の増加といった問題も。さらに、長期間続くと、より深刻な健康問題を引き起こす可能性もあります。
ストレスが引き金となって起こりうる病気には、以下のようなものがあります。
うつ病 | 気分の落ち込み、意欲の低下、不眠などの症状が現れる |
胃潰瘍 | 胃痛や胸やけ、食欲不振などの症状が見られる |
不眠症 | 寝付きが悪くなったり、途中で目が覚めたりと、十分な睡眠が取れなくなる |
自律神経失調症 | 頭痛、めまい、動悸、胃腸の不調など、さまざまな身体症状が現れる |
摂食障害 | 食欲不振や過食など、食事に関する異常な行動が見られる |
キャリアアップの機会を逃す
年齢が上がるにつれて転職が不利になる傾向があります。
とくに30代後半から40代になると、転職市場での競争力が低下すると言われているため、退職のタイミングを逃すことで、より良い条件での転職チャンスを失う可能性があります。
自己肯定感が低下する
仕事いおける自己肯定感は、やりがいを感じたり、自分の努力が成果につながったときに得られます。
しかし、モチベーションの低い職場で働き続けると、やりがいを見出すことが難しく、自分から積極的に取り組む意欲も湧きにくいため、自己肯定感を育むのが難しくなります。
退職を伝える心理的ハードルを下げるポイント
退職を決意したものの、なかなか言い出せずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。退職をスムーズに伝えるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
繁忙期を外したタイミングを選ぶ
繁忙期を外したタイミングを選ぶことは、会社側の負担を軽減し、あなたの退職に対する理解を得やすくするために重要です。会社が最も忙しい時期に退職を申し出ると、上司や同僚に負担をかけやすくなってしまい、円満退職の難易度が上がります。
また、繁忙期を避けることで、引継ぎや残務処理にも十分な時間を確保できます。これは、あなた自身の負担を軽減するだけでなく、会社側にも配慮を示すことになります。
ポジティブな退職理由を用意しておく
退職理由を伝える際、必ずしも正直でいる必要はなく、本音と建前を使い分けた方が良い場合もあります。
例えば、会社や上司への不満が退職の本当の理由であっても、それを直接伝えるのは避けた方が良いでしょう。代わりに、自己成長やキャリアアップといった前向きな理由を挙げることで、会社側も納得しやすくなります。
伝える内容を整理してメモしておく
メモを準備しておくことで、感情的にならず冷静に話を進めることができるでしょう。
上司からの質問や反論にも、事前に準備した内容を基に落ち着いて対応できるため、上司の納得を得やすくなります。
どうしても言いづらい場合は退職代行もおすすめ

退職を言い出せずに悩んでいる方にとって、退職代行サービスは有効な選択肢の一つです。退職代行サービスとは、あなたに代わって会社に退職の意思を伝え、退職に関する手続きを代行するサービスのことです。
退職代行サービスの運営元には、一般法人、労働組合、弁護士などがあり、それぞれ提供できるサービスの範囲が異なります。
以下の表は、運営元ごとの業務内容の違いを示しています。
対応内容 | 民間企業 運営 | 労働組合 運営 | 弁護士 運営 |
退職意思の伝達 | 〇 | 〇 | 〇 |
退職日の交渉 | ー | 〇 | 〇 |
有給取得の交渉 | ー | 〇 | 〇 |
給与支払の交渉 | ー | 〇 | 〇 |
離職票等を請求 | ー | 〇 | 〇 |
裁判対応 | ー | ー | 〇 |
一般法人が運営する退職代行サービスは、主に退職の意思を伝えることと、基本的な退職条件の伝達に対応します。
一方、労働組合が運営するサービスでは、退職条件や有給消化の交渉も可能。さらに、弁護士が運営するサービスなら、裁判対応を含むより手厚いサポートを受けることができます。
退職代行は「何を求めるか」で選ぼう
退職代行の最大のメリットは「心理的ストレスの低減」
退職代行に期待できるメリットは、下記のとおりです。
- 心理的ストレスを減らして退職できる
- 退職を引き留められたり、理由を聞かれたりすることを避けられる
- 弁護士に依頼をすることで未払いの給与や慰謝料請求もできる
心理的ストレスを減らして退職できる
一般的に退職する際は、上司に退職の話を切り出し、会社とよく話し合って退職します。退職の話が思うように進まなかったり、パワハラまがいな発言をされたりするケースも多々あるため、心理的ストレスを受けることも。
しかし、退職代行サービスを利用すれば、退職の意向だけでなく、有休消化や希望する退職日も伝えてもらえるため、不要なストレスを避けられます。
退職を引き留められたり、理由を聞かれたりすることを避けられる
自ら会社に退職の意向を伝えて退職する場合は、引き留められたり、理由を聞かれたりするケースも少なくありません。詳しい退職理由を伝えても納得してもらえず、結局退職できない可能性もあるでしょう。
退職代行サービスを利用すれば、本人との直接的なコミュニケーションがない分、会社側も引き留めるチャンスや意欲が減り、すんなりと退職できるでしょう。
弁護士に依頼をすることで未払いの給与や慰謝料請求もできる
弁護士による退職代行サービスを利用すると、トラブル発生時に法律に基づいた対応が可能です。また、会社側は弁護士からの請求を受けることで、法的措置を意識し、未払い給与の支払いに応じる可能性が高まります。
退職代行のデメリットは「退職するために費用が発生する」
退職代行は、自分で退職の意思を伝えずに退職できるのが魅力のサービスです。しかし、退職代行には下記のようなデメリットが伴います。
- 退職をするために費用が発生する
- 依頼先によっては交渉(未払いの給与や有休消化など)ができない
- 勤務先から直接連絡が来る場合がある
- 退職に必要な書類がすぐに送られてこないことがある
- 悪質な退職代行業者に依頼してしまう恐れがある
それぞれ詳しく解説していきます。
退職をするために費用が発生する
退職代行を利用するには、一般的に3万円〜5万円程度かかります。サービスによって異なりますが、1万円以下など格安で利用できるサービスは少ないのが現状です。
依頼先によっては未払いの給与や有休消化の交渉ができない
民間企業が運営するサービスは、依頼者の退職意向を伝達することに限定されます。一方、労働組合が運営するサービスでは、組合員として団体交渉権を行使できるため、未払い給与や有給消化などの交渉が可能。また、弁護士が対応する場合も、依頼者の代理人として同様の交渉が可能です。
したがって、何らかの交渉が必要な状況であれば、労働組合または弁護士が運営するサービスを利用することをおすすめします。
勤務先から直接連絡が来る場合がある
基本的に退職代行は、会社側には「利用者に直接連絡しないように」と依頼をします。
しかし、強制力がないため、会社によってはサービス側からの連絡を無視して、直接連絡が来る可能性があります。一般的には、本当に退職の意思があるのかを確認するために連絡が来ますが、なかには嫌がらせ目的で連絡をしてくる会社もあるので注意が必要です。
※詳しくはこちら:【退職代行】会社の人が家に来る?対処法や回避法を解説
まとめ
退職を言い出せずに悩む人は多いですが、我慢し続けることで、最悪の場合、心身の健康やキャリアに悪影響を及ぼします。退職を決意したら、適切なタイミングや方法を選び、勇気を持って伝えることが大切です。
直接伝えることが難しい場合は、退職代行サービスの利用も選択肢の一つ。自分の将来を見据え、前向きな決断をすることで、新たなキャリアや人生の可能性が広がります。退職は人生の転機です。適切な方法で進めることで、より充実した職業生活を送ることができるでしょう。
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株式会社Amazia Link
LogsFix編集部
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