「会社に行けない」と感じる原因は、単なる甘えではなく、うつ病や適応障害などの精神的な病気が関係している場合があります。この記事では、会社に行きたくない・行けないと思ってしまう原因や、うつ病や適応障害に見られる主な症状、仕事に行けない状態が続いた際の対処法も紹介しています。
自分の心と体を大切にするための一助となる内容ですので、ぜひご一読ください。
会社に行きたくない・行けないと悩む人は多い
会社に行きたくない、行けないと感じることは、多くの人が経験する感情です。
主な理由としては
- 人間関係が悪い
- 苦手なひとがいる
- いじめやハラスメントを受けている
- 激務で疲れが取れない
- 仕事内容が合わない
などが挙げられます。
これらの原因の中には、一時的なもので簡単に解決できるものもあれば、慢性的で解決が難しいものもあります。とくに注意が必要なのは、精神的な浮き沈みが続く場合です。このような状態が長期化している場合、うつ病や適応障害などの精神疾患が潜んでいる恐れがあります。自分の状態をよく観察し、早期に適切な対処を行うことで、深刻な状況に陥ることを防ぐことができます。
「会社に行けない」という状態は、決して甘えではありません
仕事に行こうと思っているのに行けないという状態は、決して甘えではありません。この状況は、心身の健康に関わる深刻な問題の兆候である可能性が高いのです。多くの人は、「自分は怠けているだけだ」と自分を責めがちですが、そのような考え方は状況を悪化させてしまいます。
無理に自分を追い込んで出勤しようとすると、さまざまな問題が生じます。たとえば、集中力の低下によるミスの増加や、業務効率の著しい低下などが起こりやすくなります。さらに、周囲とのコミュニケーションがうまくいかなくなり、職場の人間関係に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。最悪の場合、過度のストレスにより心身の健康状態が急激に悪化し、長期の休職や退職を余儀なくされる事態に陥る可能性もあります。
そのため、「会社に行けない」という状態を自覚したら、できるだけ早い段階で適切な対処を行うことが重要です。
まずは自分の状態を冷静に見つめ直し、必要であれば専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。心療内科や精神科などの医療機関を受診し、正確な診断を受けることで、適切な治療や対処法を見つけることができるでしょう。また、職場の上司や人事部門に相談し、一時的な業務調整や休養を取ることも、状況改善の一助となります。
自分の心身の健康を守ることは、長期的な視点で見れば、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。「会社に行けない」状態は決して甘えではなく、むしろ真剣に向き合うべき重要な問題だと認識することが、適切な対処の第一歩となるのです。
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うつ病や適応障害に見られる症状は?
「会社に行けない」という状態が続く場合、その背景にうつ病や適応障害などの精神疾患が潜んでいる可能性があります。これらの疾患は、似たような症状を示すことがありますが、その特徴や原因には違いがあります。
ここでは、うつ病と適応障害それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
うつ病に見られる症状
うつ病とは、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失を主な症状とする精神疾患です。日常生活や社会生活に支障をきたすほどの症状が一定期間続く状態を指します。うつ病は誰にでも起こりうる病気であり、適切な治療を受けることで回復が可能です。
以下の表は、うつ病に見られる主な症状をまとめたものです。
精神面に見られる症状 | 1日中気分が落ち込む何事にも意欲がなくなる喜怒哀楽がなくなる |
身体面に見られる症状 | 不眠・過眠食欲不振・過多疲労感が抜けない |
仕事中に現れる症状 | 人との関わりを避ける外見を気にしなくなる単純なミスが増える |
適応障害に見られる症状
適応障害とは、特定のストレス因に対して不適応な状態に陥り、日常生活に支障をきたしている状態を指します。ストレスの原因が明確であり、その原因となる出来事が起きてから3か月以内に症状が現れるのが特徴です。
うつ病との大きな違いは、適応障害ではストレスの原因が取り除かれれば症状が改善される点です。また、適応障害の場合、ストレスの原因が明確であることが多いのに対し、うつ病ではその原因が必ずしも明確ではありません。
以下の表は、適応障害に見られる主な症状をまとめたものです。
精神面に見られる症状 | 不安や緊張が強いイライラや怒りっぽさ気分の落ち込み |
身体面に見られる症状 | 頭痛や胃の不調身体の痛み睡眠障害 |
仕事中に現れる症状 | 集中力の低下仕事への意欲低下人間関係の悪化 |
適応障害の症状は個人によって異なり、上記以外の症状が現れることもあります。重要なのは、これらの症状がストレス因に対して不相応なレベルで現れ、社会生活に支障をきたしている点です。
仕事に行けない日が続いたらすべきこと
仕事に行けない状況が続く場合、適切な対処が必要です。放置すると症状が悪化する可能性があるため、早めの行動が重要です。
以下に、取るべき行動をいくつか紹介します。
- 職場の相談窓口や上司に相談する
- 有給や休職をとってしっかり休む
- 心療内科などを受診する
- 退職する
これらの選択肢は、状況に応じて検討することが大切です。一人で抱え込まず、周囲のサポートを得ながら、最適な解決策を見つけていきましょう。
職場の相談窓口や上司に相談する
多くの企業では、従業員の健康管理のためにさまざまな制度を設けています。たとえば、労働者が50名以上いる事業場では産業医の選任が義務付けられています。また、メンタルヘルス対策として社内に相談窓口を設置している企業も増えています。
特定の業務や人間関係が原因で会社に行けない場合は、異動をお願いしたり、業務内容の変更を相談したりすることも有効です。職場内に相談できる窓口があることで、仕事や環境の調整など、ストレスを軽減する対策を講じることができます。
相談する際は、自分の状況を客観的に説明することが重要です。具体的な症状や、仕事に与える影響を明確に伝えることで、より適切なサポートを受けやすくなります。また、相談内容によっては、プライバシーに配慮してもらうよう依頼することも大切です。
有給や休職をとってしっかり休む
体調の改善が見られない場合は、有給休暇を取得したり、休職制度を利用したりすることを検討しましょう。多くの企業では独自の休職制度を設けており、休職期間や休職中の賃金などが定められています。
休職する際は、医療機関で診断書を取得し、会社に提出します。診断書には「〇か月の休養を要する」といった内容が記載されます。これにより、長期の休職が可能となります。
注意点として、休職中であっても傷病手当金の受給申請が可能な場合があります。休職制度や各種手当の詳細については、会社の人事部門に確認することをおすすめします。休養中は心身の回復に専念し、焦らずゆっくりと復帰に向けて準備することが大切です。
心療内科などを受診する
仕事に行けない状態が続く場合、精神的な病気の可能性を考慮し、専門医の診断を受けることが重要です。心療内科や精神科などの医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。
症状が軽いうちに治療を始めることで、改善までの期間を短縮できる可能性があります。また、専門医の診断により、自分の状態を客観的に理解し、適切な対処法を見つけることができます。
心身の不調を抱えたまま業務を続けると、症状が悪化する恐れがあるため、症状が出たら早めに受診し、専門家のアドバイスを受けることが大切です。
退職する
会社そのものに問題がある場合や、休職・異動が認められない場合は、退職を選択肢の一つとして考えることも検討してよいでしょう。ただし、精神的に限界で自分から退職を言い出すのが難しい場合もあると思います。そのような状況では、退職代行サービスの活用してみるのも一つの方法です。
退職代行サービスとは、依頼者に代わって退職の意思を会社に伝え、必要な手続きを行うサービスです。「弁護士」や「労働組合」が運営している退職代行サービスでは、退職の意思伝達だけでなく、退職日や未払い残業代、未消化の有給休暇についての交渉も行ってくれます。
このサービスを活用するメリットは、直接上司や人事部門とやり取りする必要がなく、精神的な負担を軽減できる点です。また、法的な知識を持つ専門家が交渉することで、適切な条件での退職が期待できます。
ただし、退職代行サービスを利用する際は、信頼できる業者を選ぶことが大切です。法的に認められた団体が運営しているサービスを選び、料金体系や対応範囲をよく確認してから依頼することをおすすめします。
会社のストレスで退職する際に円満に退社する方法
仕事に行けない状況が続くと、退職を考える方もいるでしょう。その場合、できるだけ会社との対立を避け、余計なストレスを抱えずに退職したいものです。
以下、円滑に退社するためのポイントをいくつか紹介します。
- 無断欠勤は決してしないこと
- 就業規則を必ず確認する
- 引き継ぎの時間を十分に確保する
- 退職の理由を会社への不満を理由にしない
これらのポイントを押さえることで、将来的なキャリアにも大きな影響を与えず、気持ちよく次のステップに進むことができます。
以降では、それぞれについて解説します。
無断欠勤は決してしないこと
ストレスで会社に行きづらい状況であっても、無断で休むことは避けるべきです。無断欠勤が続くと、直属の上司だけでなく同僚や後輩など、職場全体からの信頼を失うことになります。
そのため、休む場合は必ず事前に連絡を入れましょう。体調不良で出勤が難しい場合は、その旨を伝え、回復次第出勤する意思があることを示すことが大切です。この行動が、退職時の円滑なコミュニケーションにつながり、良好な関係を保つ基盤となります。
就業規則を必ず確認する
退職に関する手続きや期間は会社によって異なるため、自社の規定を正確に把握しておく必要があります。
就業規則には、退職の申し出から実際の退職日までの期間や、必要な書類、引き継ぎの方法などが記載されています。これらを事前に確認することで、会社のルールに則った適切な退職プロセスを踏むことができ、会社への誠意を示すことにもつながるため、円満な退社に寄与します。
引き継ぎの時間を十分に確保する
引き継ぎの時間を十分に確保することで、残される同僚や後任者への配慮を示すことができます。
引き継ぎには予想以上に時間がかかることがあるため、退職の意思を伝える際には、十分な引き継ぎ期間を考慮して退職日を設定することが望ましいでしょう。
退職の理由を会社への不満を理由にしない
退職理由として会社への不満を述べることは、円満退社の妨げとなる可能性があります。代わりに、自身のキャリアアップや家庭の事情など、前向きな理由を伝えることが望ましいでしょう。
うつ病や適応障害と診断された場合は、「健康上の理由」と伝えるのが適切です。具体的には「体調を崩してしまい、医師から休養を勧められた」などと説明することができます。
退職理由の伝え方に配慮することで、会社との良好な関係を維持しつつ、自分の健康を優先する決断を示すことができます。これは将来的なキャリアにおいても有益な姿勢となるでしょう。
まとめ
会社に行けない状況は、単なる甘えではなく、精神的な病気のサインかもしれません。うつ病や適応障害などの症状を理解し、早期に適切な対処をすることが重要です。職場の相談窓口や上司に相談する、有給や休職を取得する、心療内科を受診するなど、自分に合った方法で状況改善を図りましょう。必要に応じて退職を選択する場合も、円満な退社を心がけることで、将来的なキャリアにも良い影響を与えます。自身の健康を最優先に考え、適切な行動を取ることで、より充実した職業生活を送ることができるでしょう。
株式会社Amazia Link
LogsFix編集部
本記事はLogsFixを運営する株式会社Amazia Link編集部が企画・監修を行いました。