毎朝、仕事に行くことがつらく、涙が出るほどの状況はかなり深刻です。この記事では、このような状態を放置するリスクと、年代別の原因と対策、そして退職を考える際の注意点を解説します。
我慢を続ける危険性を明らかにするとともに、退職を決意した際の適切な手順や退職代行サービスの活用法についても触れています。仕事に行くのが辛い方、職場環境の改善を模索している方、そして人事担当者の方などはぜひ参考にしてください。
仕事に行きたくないために毎朝泣くのは異常事態!
令和4年の厚生労働省の調査によると、「令和3年11月1日~令和4年10月31日」の1年間にメンタルヘルス不調により「1カ月以上休業」または、「退職した人」がいた事業所は13.3%に上っています。
仕事に行きたくないと感じることは、誰にでも起こりうる一時的な気持ちですが、毎朝涙がでるほど落ち込むことは決して普通のことではありません。
このような状態は、自覚している以上に深刻なストレスを抱えている証拠で、明らかに異常な状態ですので、すぐに対策・対処に動くべきです。
朝泣くほど行きたくない仕事を我慢して続けるリスク
「仕事に行きたくないために毎朝泣く」というほどの限界を感じていながら、なかなか一歩を踏み出せない人は少なくありません。ですが、このような状況を放置してしまうと、心身の健康を損なうだけでなく、キャリアや人生全体にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
ここからは、我慢を続けることで生じる具体的なリスクについて見ていきましょう。
心身の健康を著しく損なう
泣くほど辛い仕事を我慢して続けることは、精神的にも肉体的にも健康を著しく損なう可能性があります。仕事のストレスが原因で発症しやすいと言われている病気には、以下のようなものがあります。
メンタルヘルスの主要な疾患
疾患名 | 説明 |
---|---|
うつ病 | 日本では、約100人に6人が生涯でうつ病を経験するとされ、気分の落ち込みや意欲の低下、不眠などの症状が日常生活に大きな支障をきたすことがあります。 |
不眠症 (睡眠障害) | 寝付くのに時間がかかる、途中で目が覚める、朝早く目が覚めて再び眠れないといった状態が不眠症の主な症状で、これが週3日以上、3カ月以上続く場合は治療が必要です。 |
統合失調症 | 統合失調症は、気持ちや考えがまとまりづらくなる病気で、「幻覚」や「妄想」が主な症状に含まれます。幻覚は実際にはない声やものを感じ、妄想には被害妄想や関係妄想が含まれます。 |
摂食障害 | 摂食障害では食欲不振や過食などの異常な食行動が見られ、年間約21万人~24万人が医療機関を受診しています。この病気は心身の健康や人間関係、日常生活に深刻な影響を与えます。 |
出典:こころの情報サイト
これらの病気を患ってしまうと、回復にも長い時間がかかってしまう可能性があります。
自己肯定感が低下する
毎朝泣くほど仕事に行きたくない状況を我慢し続けると、自己肯定感が低下する可能性が高いです。自分の能力や価値を疑い始め、「自分には何もできない」「この仕事に向いていない」「失敗が怖い」といったネガティブな思考に陥りやすくなるのです。
また、日々の業務への意欲が低下し、以前は楽しめた仕事が苦痛に感じたり、目標意識が薄れたりすることで、仕事のパフォーマンスが低下し、さらに自信を失う悪循環に陥る可能性もあります。
時間を無駄にして転職に不利になる可能性がある
辛い状況を我慢し続けることで、貴重な時間を無駄にしてしまい、結果的に転職に不利な状況を作り出してしまう可能性があります。現在の仕事に満足できず、毎日を苦痛に感じながら過ごしていると、新しいスキルを習得したり、キャリアを積極的に構築したりする機会を逃してしまいがちです。
また、モチベーションの低下により仕事のパフォーマンスが落ちると評価も下がり、転職時にアピールポイントとなる実績を作ることが難しくなるかもしれません。
プライベートも楽しめなくなる
仕事のストレスが極度に高まると、その影響はプライベートの時間にまで及んでしまいます。毎朝泣くほど仕事に行きたくない状態が続くと、休日や帰宅後の時間も仕事の心配で頭がいっぱいになり、リラックスして楽しむことが難しくなります。
家族や友人との時間を過ごしていても、心ここにあらずの状態になりがちで、大切な人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
経済的なダメージを負う可能性がある
毎朝泣くほど仕事に行きたくない状態を放置し続けると、経済的なリスクも高まります。極度のストレスによる病気の発症や長期休職を余儀なくされると、収入が大幅に減少したり、完全に途絶えたりする可能性があります。
特に、うつ病などの精神疾患で長期休職した場合、復職までに時間がかかることが多く、その間の生活費や治療費の負担は大きくなります。さらに、突然退職を選択した場合、次の仕事が見つかるまでの期間、収入がなくなるリスクもあります。
※こちらの記事もおすすめ:会社に行けないのは甘えじゃない!うつ病・適応障害の症状の可能性も?
【年代別】仕事に行きたくなくて毎朝泣く主な原因と対策
仕事に行きたくない理由は年代によって異なります。新卒・20代の業務への不慣れさから、50代で感じるプレッシャーまで、各年代特有の悩みがあります。ここでは、厚生労働省の調査を参考に年代別の辛さの原因と具体的な対策を紹介し、働く意欲を取り戻すヒントをお伝えします。
参考:厚生労働省|令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況
新卒・20代に多い仕事に行きたくない原因
新卒・20代の若手社員が仕事に行きたくないと感じる主な原因は、業務についていけない、職場の仲間に馴染めない、頻繁に叱責される、労働条件への不満などがあります。厚生労働省の調査によると、20歳~29歳で仕事に不安や悩み、ストレスを感じている人は72%にも上ります。
若い世代はSNSの利用が活発のため、友人と自分を比較して差を感じ、その結果「焦り」や「苛立ち」を感じてしまうことも多いでしょう。
対策としては、まず自分を責めたり他人と比較したりしないことが重要です。最初はつまずくものだと可能な範囲で気軽に捉え、上司や先輩に積極的に質問し、業務の理解を深めることで自信をつけていきましょう。
時にはデジタルデトックスで、無意識に目にしていた不要な情報を避けることも効果的です。
30代に多い仕事に行きたくない原因
30代で仕事に行きたくないと感じる主な原因には、仕事のマンネリ化、職場の人間関係の悪化、会社の将来性の不安、キャリアアップの停滞、ライフステージの変化などがあります。厚生労働省の調査によると、30歳~39歳で仕事に不安や悩み、ストレスを感じている人は86%と非常に高い水準にあります。
対策としては、新しい挑戦を求めて自己啓発に取り組むことが効果的です。資格取得や新規プロジェクトへの参加など、自身のスキルアップを図ることで仕事への意欲を取り戻せる可能性があります。また、ワークライフバランスを意識してキャリアプランを見直し、転職を検討するのも一つの方法です。
40代に多い仕事に行きたくない原因
40代で仕事に行きたくないと感じる主な原因には、上司と部下の板挟みによるストレス、取引先とのクレーム対応の困難さ、増大する責任感などがあります。厚生労働省の調査によると、40歳~49歳で仕事に不安や悩み、ストレスを感じている人は87.9%で、調査対象の全年代で最も高い数字になりました。
対策として、まずは自身のストレス管理が重要です。定時退社を心掛けたり、定期的な休暇取得や趣味の時間を確保したりするなど、ワークライフバランスの改善を図りましょう。
連日残業が続いたり、休日まで仕事のプレッシャーに悩まされる場合は、自分のスキルを活かして転職を検討するのも一つの方法です。最近では転職市場が活性化しており、ミドル層の転職も盛んになっています。
出典:40代、50代のキャリアチェンジが加速、2024年度上半期の転職動向 | 日経クロステック
50代に多い仕事に行きたくない原因
50代で仕事に行きたくないと感じる主な原因には、重責を伴う仕事の増加、若手との価値観の相違、体力的な限界などがあります。特に、経営層に近い立場になることで、プレッシャーが急激に高まる傾向があります。厚生労働省の調査によると、50歳~59歳で仕事に不安や悩み、ストレスを感じている人は86.2%で、30代と同等の割合となっています。
対策としては、自身の経験や知識を活かせる新たな役割を模索するのが効果的です。例えば、若手の育成や社内メンター制度への参加など、これまでのキャリアを活かせる方向性を探りましょう。
参考:厚生労働省|令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況
毎朝泣くほど辛い仕事を退職する際の注意点
毎朝泣くほど精神的に追い詰められて退職を考える場合、冷静な判断が難しくなるため、いくつか注意が必要です。
無断欠勤・バックレをしない
無断欠勤やバックレは、退職の方法として絶対におすすめできません。一時的に仕事から解放された気分になるかもしれませんが、以下のような問題に発展する可能性があります。
- 会社からの信頼を完全に失う
- 周囲の同僚に迷惑をかけ、人間関係を悪化させる
- 次の就職活動で不利になる
無断欠勤は一度行うと癖になりやすく、次の職場でも同じ行動を取ってしまう可能性があります。正式な手続きを踏んで退職することが、長期的には自分のキャリアにとって最善の選択となります。
感情に任せて仕事を辞めない
仕事に対する強い不満を感じた時、衝動的に辞めたくなる気持ちはよくわかります。しかし、感情に任せて突然退職することは、後悔する可能性が高いため避けるべきです。退職を決める前に、以下についてじっくり考えてみましょう。
- 会社を辞めたい具体的な理由は何か
- 会社や仕事の好きなところ、評価できる点はあるか
- どんな変化があれば仕事を続けられそうか
- 退職後の具体的なプランはあるか
これらの点を冷静に考えることで、本当に退職すべきかどうか、より良い判断ができるでしょう。
辞めたいと言い出せないなら退職代行サービスも選択肢の一つ
職場環境が極めて悪い場合や上司との関係性が最悪の状態にある場合、自ら退職を申し出ること自体が非常に高いハードルとなることがあります。そのような状況下では、退職代行サービスの利用を検討するのも一つの選択肢です。
退職代行サービスでは、従業員の代わりに以下などの対応を行ってくれます。
- 会社への退職意思の伝達
- 退職に関する交渉(退職日の調整など)
- 退職に必要な書類の準備と提出
- 未払い給与や有給休暇の精算交渉
また、退職代行サービスの運営元は主に3種類あり、それぞれ特徴が異なります。
- 民間企業運営:比較的安価だが交渉力に制限がある
- 労働組合運営:団体交渉権を持ち、確実な退職が可能
- 弁護士運営:法的サポートが充実しているが高額
退職代行サービスの運営元別の業務内容をまとめましたので、参考にしてください。
業務内容 | 民間企業 | 労働組合 | 弁護士 |
---|---|---|---|
退職意思を伝える | ◯ | ◯ | ◯ |
退職条件を交渉する | × | ◯ | ◯ |
有給取得を交渉する | × | ◯ | ◯ |
給与支払いを交渉する | × | ◯ | ◯ |
離職票等を請求する | × | ◯ | ◯ |
裁判に対応する | × | × | ◯ |
退職代行サービスのメリット・デメリット
退職代行サービスには以下のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 心理的負担が軽減される
- 専門家による適切な手続きが期待できる
- 交渉が難しい案件でも対応可能
【デメリット】
- 費用がかかる
- 自分の意思が正確に伝わらない可能性がある
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退職代行サービスの選び方のポイント
退職代行サービスを選ぶ際は、以下のポイントに注意しましょう:
- 運営元:労働組合や弁護士が運営しているか確認
- 実績:これまでに豊富な実績があるか
- 成功率:高い成功率を謳っているか
- 評判:SNSや口コミサイトで悪評がないか確認
- オプション:24時間対応など手厚いサービスがあるか
これらのポイントを押さえて、自分の状況に最適なサービスを選ぶことが重要です。
まとめ
毎朝泣くほど仕事に行きたくない状況は、心身の健康に深刻な影響を及ぼす危険な状態です。この記事では、そのような状況に陥る原因を年代別に分析し、退職の際の注意点も解説しました。
重要なのは、自分の健康と将来のキャリアを最優先に考え、慎重に行動することです。辛い状況から抜け出すためには、適切な対策と支援を得ることが不可欠です。
株式会社Amazia Link
LogsFix編集部
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