「退職すると言ったら嫌がらせをされた」そんな経験がある方も少なくありません。
また、他の人がそのような対応を受けているのを見て、自分も『嫌がらせをされるのではないか』と報告をためらっていませんか?
退職の相談後に過剰な仕事を振られたり、無視されたりする「ヤメハラ(退職ハラスメント)」に悩む人が増加しています。今回は、ヤメハラをする人の心理や、予防方法を解説します。ヤメハラのリスクを回避し、スムーズな退職プロセスを実現しましょう。
退職ハラスメントやヤメハラの増加
ハラスメントといえば、パワハラやセクハラが一般的に知られていますが、近年では退職時に受ける嫌がらせ、いわゆる『ヤメハラ』も増加傾向にあります。
Googleトレンドによると、『ヤメハラ』の検索数は2023年ごろから増え始め、ここ1~2年で認知が広まっていることがわかります。一方で、同じ意味を持つ『退職ハラスメント』の検索は2007年ごろから見られており、潜在的な問題としては比較的以前から存在していたことが伺えます。
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ヤメハラをする人の心理
ヤメハラとは一般的に、上司や同僚が退職を認めないことや退職者に対して嫌がらせや圧力をかける行為であり、背景には多くの心理的要因が存在します。
たとえば
- チームのパフォーマンスや業務の進捗に対する不安
- 不十分な引き継ぎに対する不満
- 退職者に対する嫉妬や怒り
- 職場の文化や風土
などの状況や感情が行動に現れてしまっています。
具体的な行動として、強い口調で退職を思いとどまらせるために圧力をかけたり、業務内外で無視をしたりするケースもあります。
ヤメハラを防ぐためには、以上のような上司や同僚がもつ心理的な背景を考慮し、状況ごとに適切な対応を検討しなければなりません。
ヤメハラの予防方法
ヤメハラを受けた場合、最初は「つまらないことをする人だ」と多少上から目線で接し、受け流すメンタリティが望ましいです。
ですが、どんな人でも居づらさを感じ、ストレスが蓄積するのは明らかですよね。精神衛生上も良くないことは間違いありません。
そんなヤメハラを予防するためには、退職する側の計画的な準備が必要です。
ステップとしては
- 退職を決意したら早めに退職理由やタイミングを明確にする
- 上司や同僚への説明の準備をする
- 業務の引き継ぎに必要な資料やマニュアルを事前に作成する
退職を報告する際には、適切なタイミングを選びましょう。可能な限り、業務の繁忙期を避け、上司や同僚にとって負担が少ない時期を選ぶことで、ネガティブな反応を抑えられます。
また、事前に信頼できる同僚や上司に相談し、退職報告のアドバイスをもらうことも有効でしょう。
社員に相談しにくい場合、内部通報(公益通報)制度として社内に設置されている「社内窓口」や、弁護士や通報窓口業務を担う会社などに委託して外部に設置されている「社外窓口」を活用する方法もあります。
退職の意思を伝えた最後に、これまでの指導やサポートに対する感謝の意まで伝えることができれば完璧です!
ポジティブな印象を残すことで、円満な退職に一歩近づきます。
※内部通報(公益通報)制度について詳しくはこちら:政府広報オンライン
ヤメハラを受けてしまったら?対処法・相談先について
ヤメハラ(退職ハラスメント)を受けた場合、会社の専用窓口や信頼できる先輩・上司に相談するか、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」または「働く人の「こころの耳電話相談」」に無料で相談することができます。ヤメハラは個人の問題ではなく会社全体の問題のため躊躇する必要はありません。
ヤメハラを受けてしまったら、まずは冷静な対処を意識しましょう。
たとえば
- ヤメハラを受けた際の会話やメールの内容を記録に取る
- 信頼できる同僚や総務・管理部に状況を共有して証言を得る
などが適切な対応と言えるでしょう。
冷静に対応し、証拠を残しておくことで後の法的手続きを進める際に有効です。
総合労働相談コーナー
労働問題に関するあらゆる分野について、労働者、事業主どちらからの相談でも、専門の相談員が面談あるいは電話で受け付けているとのこと
※厚生労働省「相談機関紹介」より
働く人の「こころの耳電話相談」
ヤメハラの他、パワハラやセクハラをはじめとする「ハラスメント行為」で心のサポートが必要な際は、電話やメールで相談できる『こころの耳』の利用も可能です。
※『労働基準監督署』は労働基準法や労働安全衛生法、労働者災害保険法などの法令遵守を監督する機関であり、場合によってハラスメントのみの相談には対応してもらえない可能性があります。
ヤメハラが怖い場合、退職代行サービスを利用するのも選択肢のひとつ
退職する人にはさまざまな状況があり、退職を告げるまでに十分な準備期間が確保できない場合や、職場の雰囲気からヤメハラのリスクが高いと感じる場合があります。そうした状況では、退職代行サービスを利用して退職を告げるのも選択肢のひとつ。一方で決して安くない費用が発生するので、事前に料金体系やサービス内容を確認し、比較検討することをお勧めします。
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