
退職を考えているものの、上司との関係や職場の雰囲気が原因で言い出せない方も多いのではないでしょうか?
そんな時は退職代行サービスの利用がおすすめです。しかし、利用にあたってはメリットばかりでなく、トラブルに発展する可能性もあることを念頭に置いておきましょう。
本記事では、退職代行サービス利用時に起こりうるトラブルとその対策について詳しく解説していきます。
退職代行を利用するときに起こるトラブルの事例10選
退職代行サービスを利用する際に実際に起こり得る10のトラブル事例と、その対処法を詳しく解説します。
- 勤務先に退職を拒否される
- 退職金や給与が支払われない
- 有給休暇を消化させてもらえない
- 勤務先から直接連絡が来る
- 懲戒解雇処分にされる
- 退職代行業者が非弁行為を行っていた
- 損害賠償を請求された
- 退職代行業者から追加費用を請求された
- 依頼前なのにキャンセル料を請求された
- 退職ができなかった
1、勤務先に退職を拒否される
退職代行を利用して退職の意思を伝えても、勤務先から「人手不足」や「引き継ぎが終わっていない」などの理由で、退職を認めてもらえないケースがあります。こうした事情から、退職時期を延ばされることもあるでしょう。
とはいえ、日本の法律では労働者に「退職の自由」が認められており、原則として会社がこれを拒否することはできません。つまり、上記のような対応はごく一部のケースにすぎません。
ただ、退職代行の利用が広まるなかで、SNS上では「退職代行撃退マニュアル」といった投稿が拡散されたこともありました。
その影響もあって、実際には問題なく退職できているケースがほとんどであるにもかかわらず、稀に発生するトラブルや失敗例が目立ってしまう傾向があります。
- 「勤務先に退職を拒否される」の対処法
- 「退職したい」という申し出を拒否される可能性がある場合や、そうしたトラブルを未然に防ぎたい場合は、「労働組合」または「弁護士」が運営する退職代行サービスを選ぶと安心です。
実際、SNSで拡散された「退職代行撃退マニュアル」にも触れられていましたが、これらの団体は企業と正式に交渉する権限を持っているため、不当な引き止めや嫌がらせにも適切に対応できます。
「弁護士」と聞くと、敷居が高いと感じる方も少なくありません。依頼に対して心理的なハードルを感じる場合は、労働組合が運営する退職代行サービスの中でも、実績と人気を兼ね備えた退職代行ガーディアンがおすすめです。
※交渉の権限について詳しくはこちら:退職代行は非弁行為に該当する?
2、退職金や給与が支払われない
会社の経営状況が悪化している場合や、退職者への嫌がらせとして意図的に支払いを遅らせるケースもあります。
未払いがある場合は、必要に応じて労働基準監督署に相談したり、弁護士を通じて法的手段を検討することも考えましょう。
- 「退職金や給与が支払われない」の対処法
- 「退職させてくれない」といった状況よりも、さらに踏み込んだ交渉が必要な場合は、最初から弁護士が運営する退職代行サービスに依頼するのが望ましいでしょう。
万が一、裁判に発展した場合の対応は、弁護士でなければ対応できません。
※弁護士運営のサービス:【料金比較】弁護士運営の退職代行 おすすめ7選
3、有給休暇を消化させてもらえない
退職前の有給休暇の消化を申し出ても、上記のように「非弁行為」と指摘されたり、嫌がらせで会社側が認めないケースがあります。
しかし、有給休暇の取得も労働者の権利であり、会社側に拒否する正当な理由がない限り、本来は取得を認めるべきです。
- 「有給休暇を消化させてもらえない」の対処法
- 有給休暇の消化を拒否されるケースは、退職代行を利用する際に最も起こりやすいトラブルの一つと言えるでしょう。
このような場合も、正式に交渉が認められている「労働組合」または「弁護士」が運営する退職代行サービスを利用することで、非弁行為との指摘を避けることができ、企業側も抵抗しにくくなります。
4、勤務先から直接連絡が来る
退職代行サービスを利用していても、勤務先から本人に直接連絡が来るケースがあります。
内容は「退職の意思確認」だけでなく、「引き継ぎに関する質問」や「嫌がらせのような連絡」など、さまざまなパターンが考えられます。
- 「勤務先から直接連絡が来る」の対処法
- 勤務先から直接連絡が来る場合は自分で対応せず、利用した退職代行業者に対応を依頼しましょう。すべての連絡を退職代行業者経由で行うよう、改めて勤務先に要請することも可能です。
※こちらの記事もおすすめ:【退職代行】会社の人が家に来ることはある?対処法や回避法を解説
5、懲戒解雇処分にされる
退職を申し出たことで、逆に懲戒解雇処分を受けるケースがあります。しかし、特に問題がない場合の懲戒解雇処分は不当であり、労働者の権利を侵害する行為です。
- 「懲戒解雇処分にされる」の対処法
- 不当に懲戒解雇されるようなケースでは、労働組合や労働基準監督署といった相談先もありますが、最も適切なのは弁護士です。
とくに、ブラック企業など、退職代行を利用したことで「懲戒解雇にするぞ」と脅してくる可能性がある場合は、最初から弁護士が運営する退職代行サービスに相談するのが安心です。
※弁護士運営のサービス:【料金比較】弁護士運営の退職代行 おすすめ7選
6、退職代行業者が非弁行為を行っていた
退職代行業者のなかには、弁護士資格がないにもかかわらず法律事務を行う「非弁行為」を行っているケースがあります。非弁行為は違法です。
非弁行為が疑われる場合は、すぐに依頼を中止し、別の信頼できる業者や弁護士に相談することをおすすめします。
- 「退職代行業者が非弁行為を行っていた」の対処法
- そのため、「退職の意思を伝えてもらう」だけであれば、モームリのような民間運営のサービスで問題ありませんが、有給休暇の取得交渉や未払い残業代の請求などを希望する場合は、正式に交渉権が認められている「労働組合」や「弁護士」が運営する退職代行サービスを選ぶのが安心です。
非弁行為が問題視されるようになった背景には、民間運営の退職代行サービスが「労働組合提携」や「弁護士監修」などと表現し、あたかも交渉権があるかのように利用者を誤認させる業者が増えたことがあります。
退職代行は比較的新しいサービスであるため、当初はこうした表現の判断基準が曖昧でしたが、2025年現在では「これは非弁行為にあたる」と明確に指摘する声も増えてきています。
7、損害賠償を請求された
退職によって会社に損害を与えたとして、損害賠償を請求されるケースがあります。しかし、正当な理由のない損害賠償請求は認められません。
- 「損害賠償を請求された」の対処法
- 損害賠償を請求される事態は基本的に考えにくいですが、可能性が全くないわけではありません。
損害賠償は一般的に、「会社に損害が発生した場合」に成立します。万が一に備えて、業務の引き継ぎ状況などを詳しく記録しておくことが大切です。退職代行業者と相談しながら、適切な対応を取りましょう。
8、退職代行業者から追加費用を請求された
契約時に合意した金額以外に、追加で費用を請求されるケースがあります。
追加費用のトラブルは、事前の説明不足や不透明な料金体系が原因となっていることが多くあります。
特に、「10,000円〜」といった最低料金だけを強調した広告や、「5,000円以下で依頼可能」など、相場よりも極端に安い金額を掲げているサービスには注意が必要です。
- 「退職代行業者から追加費用を請求された」の対処法
- まずは依頼する前に、自分の希望を伝えたうえで「この内容でも、記載されている金額で対応してもらえますか?」と確認しておくと安心です。
また、事前に口コミをチェックし、掲載されている金額以外に追加料金が発生した事例がないか調べておくのも有効です。
9、正式な依頼前なのにキャンセル料を請求された
退職代行サービスの利用を検討している段階で、正式な依頼をする前にもかかわらずキャンセル料を請求されるケースがあります。正式な依頼前のキャンセル料は多くの場合、不当な請求です。
- 「正式な依頼前なのにキャンセル料を請求された」の対処法
- 事前の相談や見積もりの段階では、原則として料金は発生しません。万が一、費用を請求された場合は支払わず、消費生活センターなどに相談することをおすすめします。
こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、初回の相談時に「どの段階までならキャンセルが可能か」を事前に確認しておくと安心です。
10、退職ができなかった
最悪の場合、退職代行サービスを利用しても退職できないケースがあります。主に退職代行業者の能力不足や、勤務先と退職代行業者の間で衝突が発生してしまった場合に起こりえます。
- 「退職ができなかった」の対処法
- このような場合、新たに別の退職代行サービスに依頼し直すという選択肢もありますが、余計な時間やストレスがかかってしまうのが難点です。
そのため、最初から「退職成功率100%」と明記されているサービスや、交渉が可能な「労働組合」や「弁護士」が運営する退職代行サービスを選ぶことをおすすめします。
退職代行の選び方=重視すべきは「サポート内容」
まず、退職代行には大きく分けて、次の3つの種類があります
- 民間企業が運営する退職代行
- 労働組合が運営する退職代行
- 弁護士が運営する退職代行
それぞれ「サポート内容」や「対応範囲」に違いがあるため、自分が求めるサポートに合った運営元とサービスを選ぶことが最も重要です。
以下、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
1. 民間運営|コストを抑えてシンプルに退職したい方向け
特徴
・「退職の意思を会社に伝える」までが対応範囲
・料金は1万円台~と最も安い価格帯
・スピーディーな対応や即日退職にも強い
こんな人におすすめ
・退職の意思を伝えるだけでいい
・できるだけ安く済ませたい
民間運営の退職代行サービスは、「できるだけ費用を抑えたい」という方におすすめです。ただし、その分、他の運営元と比べて交渉力が弱く、「退職の意思や希望を伝える」ことに特化している点に注意が必要です。
最近では、民間業者が労働組合と提携し、「交渉可能」とうたうサービスも増えていますが、これについては合法性をめぐって専門家の間でも意見が分かれており、慎重な判断が求められます。
とくに、顧問弁護士や提携弁護士がいない民間運営のサービスの場合、本来であれば違法となるような交渉に踏み込んでしまうリスクも。たとえば「有給の消化を拒否された」といった会社側の強い抵抗に直面した場合、その後の対応が難しくなる可能性もあります。
費用を抑えつつも、有給消化や即日退職などをしっかり実現したい方には、「弁護士監修」や「弁護士提携」のサービスを選んで相談するのがおすすめです。
2. 労働組合運営|交渉したいけど費用は抑えたい方向け
特徴
・団体交渉権を活用して、会社と直接交渉が可能
・有給取得や退職日の調整、未払い残業代請求にも対応
・法的トラブルには対応できない(訴訟サポートなど)
こんな人におすすめ
・有給休暇を必ず取得したい
・退職日を会社と交渉したい
・弁護士に頼むほどではないが、最低限の交渉はしてほしい
労働組合が運営する退職代行サービスは、団体交渉を通じて会社と法律的に交渉する権利があります。そのため、民間企業が運営するサービスに比べて、対応できる範囲が広いのも特徴です。
団体交渉とは、労働組合が労働者を代表して、会社と労働条件や権利について話し合うことを指します。
たとえば
有給休暇をすべて消化して退職したい
即日退職を認めてもらいたい
といった希望がある方は、民間運営の退職代行サービスよりも、労働組合運営のサービスの検討をおすすめします。
※こちらの記事もおすすめ:労働組合が運営する退職代行を徹底比較
3. 弁護士運営|トラブル回避や法的対応を求める方向け
特徴
弁護士による直接的なサポート
パワハラ・未払い賃金・損害賠償請求などにも対応
会社側が強硬な場合も法的に対応できる
料金は3万円以上が相場で高め
こんな人におすすめ
職場トラブルやパワハラに悩んでいる
未払い賃金や慰謝料請求も視野に入れている
確実さを求める
弁護士が運営する退職代行サービスでは、実際の会社への連絡を弁護士本人が担当してくれます。法律のプロによる交渉力はもちろんのこと、他にも多くのメリットがあります。
たとえば、会社側が「弁護士からの正式な連絡」と受け取ることで、無用な抵抗や嫌がらせといった対応を避けられる可能性が高くなる点です。
また、
- 未払いの給料がある
- 残業代が支払われていない
といった労働トラブルがすでに起きている場合には、問題がこじれる可能性もあるため、はじめから弁護士運営のサービスに依頼するのがおすすめです。
「弁護士に依頼=高額」というイメージを持たれがちですが、最近では3万円ほどから利用できるサービスも登場しています。まずは無料相談を活用してみるのも良いでしょう。
退職代行トラブル回避のための事前準備
退職代行サービスを利用する前に、トラブルを回避するための準備を入念に行うことが大切です。
- 退職届を準備しておく
- 労働条件に関する情報を整理する
- 信頼できる退職代行業者を選ぶ
1. 退職届を準備しておく
まずは、退職の意思を明確に伝えるための退職届を事前に用意しておきましょう。業者を通じて会社に提出してもらう場合でも、準備できていることでやり取りがスムーズになります。
※詳しくはこちら:退職代行利用時でも退職届は必要?いつ提出する?タイミングや注意点を解説
2. 労働条件に関する情報を整理する
次に、未払いの残業代や有給休暇の残日数など、状況を確認しておきましょう。あわせて、就業規則や労働契約書に目を通し、退職に関する規定(退職時の手続きや必要な期間など)を把握しておくことも重要です。
これにより、会社側とトラブルになりやすい点を事前に把握し、自分の権利をしっかり守ることができます。
3. 信頼できる退職代行業者を選ぶ
退職代行業者を選ぶ際は、複数の業者を比較検討しましょう。具体的には、以下の点をチェックするのがおすすめです
- サービス内容と料金体系
- 実績や利用者の口コミ
- 追加費用の有無
また、初回相談時には、自分の状況や不安点を具体的に伝えることで、業者側も適切な対応が取りやすくなります。
※こちらの記事もおすすめ:退職代行の選び方完全ガイド
退職代行を利用する基本の3ステップ
退職代行サービスは、以下の3つのステップで進みます。
① 退職代行業者に依頼する
まずは希望する退職代行業者にLINEやメール・電話等で連絡し、現在の状況や退職希望日、伝えたい条件などを伝えて正式に依頼します。
契約内容(対応範囲・費用・開始タイミングなど)や希望の対応をしてもらえるのかをよく確認し、納得した上で契約しましょう。
② 業者が勤務先に連絡する
依頼を受けた退職代行業者が、あなたに代わって会社へ連絡し、退職の意思を伝えます。退職日や条件など、事前に確認した内容に基づいて交渉・伝達してくれるため、自分で会社とやり取りする必要はありません。
③ 退職手続きが完了する
会社に退職届が受理されると、退職日が確定します。有給休暇や未払い給与、退職金などの手続きも業者がサポートしてくれます。
必要書類(退職証明書、給与明細など)の受け取りや、社会保険・年金の案内までもサポートしてくれるような手厚い代行業者も増えています。
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まとめ
退職代行サービスは、直接退職を申し出にくい状況にある方にとって有用な手段ですが、利用にあたってはさまざまなトラブルのリスクがあります。
本記事で紹介した事例や対策を参考に、慎重に業者を選び、適切な準備を行いましょう。
特に、弁護士への依頼や事前の情報収集は、トラブル回避に効果が期待できます。
退職は人生の大きな転機です。退職代行サービスを利用する場合も、ご自身の権利を守りつつ、円滑に次のステップへ進むことができるよう、十分な注意と準備を心がけましょう。
困難な状況にあっても、退職代行のサポートを得ることで、より良い職場環境や人生の新たなステージへの扉を開けます。

株式会社Amazia Link
LogsFix編集部
本記事はLogsFixを運営する株式会社Amazia Linkが企画・監修を行いました。