退職代行で利用する「委任状」の役割や必要性とは?書き方も解説

更新日:

公開日:2025.01.31

退職代行サービスを利用する際、「委任状」の提出を求められることがあります。委任状を作成することで、会社側が退職者の正式な意思表示として受け取り、退職手続きがスムーズに進むため、なるべく作成しましょう。

この記事では、委任状の役割や作成ルールを解説します。ぜひご活用ください。

委任状の基本的な役割

委任状とは、あなたが特定の行為や手続きを他の人(代理人)に委任する意思を示す書類です。

これにより、本人が直接対応できない場合でも、代理人が正式に手続きを進めることが可能になります。

退職代行における委任状の必要性

会社を退職する手続きを他人に代行してもらうには、法的根拠が必要です。その際、本人から正式に権限を委任したことを示す「委任状」が重要な役割を果たします。

委任状は、企業が本人の退職意思を確認するための証拠となり、「意思確認がなかった」というトラブルや、会社からのしつこい連絡を防ぐ手助けにもなります。作成を求められた場合は、必ず対応しましょう。

※こちらの記事もおすすめ:退職代行サービス利用時でも退職届は必要?

POINT

「委任状を本人が書いたのか確認できないから受け入れられない」と強引に受理を拒否する会社も残念ながら存在します。その場合は、内容証明で郵送するとともに貸与品を同封して送ると効果的でしょう。

ただし、依頼する退職代行サービスの担当者に相談してから判断を仰ぎましょう。

委任状を作成する際の基本ルール

委任状には決まった書式はありません。自分で作成することも可能ですし、インターネットでダウンロードできるテンプレートを利用することもできます。

ここでは、委任状を作成するときに守るべき基本ルールをご紹介します。

記載する事項

委任状に記載すべき事項は、退職代行業者からの指示に従えば問題ありません。ただし、指示がない場合や自分で用意する必要がある場合は、以下の内容を参考にしてください。

  1. 委任者(退職者)の氏名
  2. 委任者の住所
  3. 委任者の電話番号
  4. 委任する内容 例:○○株式会社への退職手続きの代行を委任する
  5. 委任先の名称・所在地・連絡先:退職代行業者の名称や担当者の氏名を記載
  6. 委任日:作成した日付を記載
  7. 退職理由
  8. 署名・捺印

退職理由については「一身上の都合」で問題ありません。ハラスメントや給与の未払いが原因であれば、後々の証拠として記載する場合もありますが、安易に詳細を盛り込むとトラブルが拡大することもあります。迷う場合は退職代行の担当者や弁護士にアドバイスを受けながら、慎重に記載内容を決めるようにしましょう。

直筆を推奨

委任状は直筆で作成することが推奨されます。ですが、パソコンなどで作成した場合でも、署名が直筆であれば効力を持ちます。

その際、フリクションなどの消えるペンは使用しないようにしましょう。

代筆(代理作成)はやむを得ない場合のみ

病気などのやむを得ない事情がある場合に限り、家族などが代理人として委任状を作成することが可能です。ただし、その際でも本人の署名捺印(※)が必要です。

退職代行サービスは基本的に委任状の作成を代理で行うことはありません。本人が作成できない場合は、事前に相談しておくことをおすすめします。

※捺印=署名+押印

実印を利用する

委任状に押印する印鑑は、「認印」でも良しとする情報もありますが、できれば「実印」を利用し、印鑑証明も添付できると安心です。

※実印:市区町村役所に登録した印鑑で法的な効力が強く、本人確認の役割を果たす

※認印:役所への登録が不要で、日常的な場面で広く使われる印鑑

委任状の書き方・記載例

委任状は、テンプレートやフォーマットをダウンロードして利用できるものが増えています。ただし、環境が整っていない場合は、便箋などに手書きで作成しても問題ありません。

【記載例】

委任状

私、山田 太郎は、株式会社〇〇(退職する会社の正式名称)の退職に関するすべての手続きを、下記に一任いたします。

退職代行業者:退職代行〇〇

担当者:(今後のやり取りがスムーズになります)

住所:東京都渋谷区〇〇12-34

電話番号:03-1234-××××

令和7年1月1日

山田 太郎

住所:千葉県千葉市〇〇1-23

電話番号:090-1111-××××

– 以下余白 –

※記載方法や作成手順は、利用する退職代行サービスの指示に従って行いましょう。

委任状作成時の注意点

退職代行サービスで委任状を作成する際の注意するポイントを解説します。

1、退職代行サービスの名称と担当者名を記載する

退職に関する連絡先や、やり取りの相手を明確にしておくことで、会社側も連絡先がはっきりし、スムーズに対応してもらえます。これにより、退職手続きが円滑に進み、完了までの不安や心配といったストレスを軽減できます。

2、有効期限は3か月以内を目安に

委任状の有効期間について正式な規定はありませんが、公的な書類の多くは約3か月を目安に有効とされることが一般的です。そのため、委任状も3か月以内に使用することをおすすめします。

3、作成したらコピーを保管する

あとから内容を確認する必要が出る可能性もあるため、作成した委任状は必ずコピーを取り保管しておきましょう。または、スマートフォンで写真を撮影しておくと、手軽に確認できるためおすすめです。

4、余白部分には「以下余白」を記載する

書類に余白ができた場合は、不正な改ざんを防ぐために「以下余白」と記入し、その横に印鑑を押しておくと安心です。

5、配達記録が残る形で郵送する

封筒に入れて切手を貼るだけの普通郵便は避け、配達履歴が残る「特定記録郵便」や「レターパック」を活用しましょう。普通郵便では誤配送や紛失の可能性があるため、配達記録を残す方法を選ぶことで、確実に相手に届けられます。

まとめ

退職代行サービスを利用する際は、委任状を作成することをおすすめします。作成方法や送付方法・タイミングに迷った場合は、退職代行の担当者に相談すると適切なアドバイスが得られるでしょう。代行会社によっては専用のフォーマットを用意していることもあり、1から作る手間を省ける場合もあります。

退職は心理的な負担が大きいものです。スムーズに進めるためにも、事前にできる準備を整え、円滑な退職を目指しましょう。

株式会社Amazia Link

LogsFix編集部

本記事はLogsFixを運営する株式会社Amazia Linkが企画・監修を行いました。