退職代行サービス利用時でも退職届は必要?いつのタイミングで提出する?退職届提出の注意点

更新日:

公開日:2024.10.21

退職代行サービスの利用を考えた際に、「退職届は提出するべきなのか」や「どのタイミングで提出すればよいのか」など、対応に迷ってしまいますよね。

本記事では、退職代行サービスを利用する場合でも退職届が必要な理由や、退職届の役割、作成方法、適切な提出タイミング、注意点などを詳しく解説します。     

これから退職代行サービスを利用される方や、依頼を検討している方はぜひ参考にしてください。

退職代行サービス利用時でも退職届は提出すべき!

その理由は、退職届がないと会社側が退職希望者の退職意思を確認できないことや、退職の受理ができず手続きを進められない可能性があるからです。

退職代行サービスを通じて退職の意思を伝えても、会社側がその連絡を信用せず、退職手続きを進めるか判断ができない場合に、退職届が本人の意思の証明となります。また、会社側が「聞いていない」などと拒否した場合の証拠としての役割も果たします。

なお、退職代行サービスを利用する場合でも、退職届をスタッフが代筆することは基本的にできません。必ず自身で書く必要がありますが、一般的なテンプレートがあるため、それを見本にしながら作成できます。

いつ提出するべき?

基本的には、退職代行業者が会社に連絡した後に退職届を提出します。

タイミングや方法については状況によって異なるため、初回の相談時に担当者へ確認しておくと良いでしょう。また、手続きがスムーズに進むように、事前に退職届を用意したり、記載内容を確認したりすることをおすすめします。

そもそも退職届の役割とは     

退職届とは、退職者本人が会社に対して退職を正式に通告するための書類です。退職届の役割は、退職の意思を明確に示し、退職日を会社に伝えることです。また、退職の証拠として残るため、後々のトラブルを防ぐ役割も果たします。退職届を提出後は、基本的に取り下げはできません。

退職願との違い

退職願とは、退職希望者が会社に対して退職を願い出るための書類です。退職願の目的は、会社に退職の意思を伝え、退職の許可を求めることです。一方、退職届は退職が確定した後に提出します。

退職願は退職の意思表示の段階、退職届は退職日が決定した後に提出するものなので、提出のタイミングが異なるわけです。また、退職願は取り下げが可能ですが、退職届は先述のとおり基本的に取り下げできないという違いがあります。     

退職届の書き方

退職届を書く際は、以下のものを用意しましょう。

  • 白い無地の便箋(B5もしくはA4サイズ)
  • 黒のボールペンまたは万年筆
  • 封筒(長形3号または長形4号)
  • 印鑑

退職届の用紙はB5もしくはA4が望ましいとされており、それぞれの用紙に合う封筒サイズは長形4号、長形3号です。

退職届の本文の記入例

退職届の記入例を紹介します。各項目の解説もありますので、参考にしてください。

退職届,本文,記入例

【各項目の説明】

①書き出し

私儀(わたくしぎ)と記載します。

②退職理由

自己都合退職の場合は「一身上の都合」と記載します。なお、会社都合の場合は具体的な退職理由(例:業績不振に伴う事業所閉鎖のため等)を記載します。

③退職日

上司との話し合いで決めた日付を記載します。西暦でも和暦でも問題ありません。

④文末

退職が確定してから提出するため「退職いたします」と記載します。

⑤届出年月日

提出する日付を記載します。西暦でも和暦でも問題ありません。

⑥所属部署、氏名

宛名より下の位置に所属と名前を記載して、名前の下に捺印します。シヤチハタはNGです。

⑦宛名

代表取締役社長など、最高執行責任者の役職と名前を記載します。敬称は殿とし、自分の名前よりも上に書きましょう。

退職届の封筒の記入例

退職届の封筒の書き方を紹介しますので、参考にしてください。

退職届の封筒,記入例

【ポイント】

  • 封入

のりで閉じたあとに「〆」と書きます。

  • 封筒の表面

「退職届」と記載します。

  • 封筒の裏面

差出人欄に、自身の所属部署と名前を記載します。

退職届を提出する際の注意点

退職届の提出は、退職までの大切なステップです。ここでは、退職届を提出する際の主な注意点をご紹介します。

自身で作成・提出する必要性や、提出のタイミング、取り下げができないこと、郵送方法など、退職届に関する重要な事項を押さえておくことで、スムーズな退職手続きを行うことができます。

退職届は原則自身で作成・提出する

退職代行サービスを利用する場合でも、退職届の作成や提出は原則として自分で行う必要があります。これは、退職届が退職者本人の意思を示す重要な文書だからです。

ただし、例外として弁護士が運営する退職代行業者の場合は、代筆が可能な場合があります。その他の業者で退職届作成を代行すると謳う業者には十分注意が必要です。自分で作成することで、確実に自身の意思を伝えられ、後々のトラブルを避けることができます。

退職届は取り下げができないため慎重に考える

冒頭でも触れたとおり、退職届は一度提出すると基本的に取り下げることができません。これは、退職届が正式な意思表示として扱われるためです。会社側も退職届を受理した時点で退職手続きを進めてしまうため、翻意しても元に戻すことは困難です。

そのため、退職届を提出する前に十分に熟考し、退職の意思を固めることが重要です。安易な気持ちで提出すると、後悔する可能性があるので注意しましょう。

退職届を郵送で送る場合は内容証明郵便で送る

退職届を郵送する際は、内容証明郵便の利用を推奨します。内容証明郵便とは、郵便局が文書の内容を証明し、いつ、誰から、誰に、どのような内容の文書を送ったかを証明するサービスです。これを利用することで、退職届の送付日時や内容を明確に記録できます。

万が一、退職に関するトラブルが発生した場合でも、退職の意思表示を確実に行ったことを証明できるため、法的な保護を受けやすくなります。

もし内容証明便を利用しない場合でも、最低限、郵便物の配達状況を確認できるレターパックを利用するようにしましょう。

退職代行サービスの利用の流れ

退職代行サービスを利用する場合、一般的に以下のステップで進行します。

  1. 退職代行業者に連絡・相談
  2. 利用者情報の共有
  3. 利用料金の支払い
  4. 退職手続きの開始
  5. アフターフォロー

なお、退職代行業者によってサービス内容や対応範囲が異なるため、事前に十分な確認が必要です。

※退職代行サービスを利用する流れについて詳しくはこちら:

退職代行サービスを利用するメリット・デメリット

退職代行サービスの利用には、以下のようなメリットとデメリットがあります。会社に退職の意思を伝えにくい人にとってはメリットの方が大きいですが、少なからずデメリットもあるため、以下に紹介するメリットとデメリットを総合的に勘案して、サービスを利用するかどうかを決めましょう。

【退職代行サービスを利用するメリット】

  • 退職の希望を直接伝えるストレスがない
  • 引き止められる心配がない
  • 上司とのやり取りや衝突が避けられる

【退職代行サービスを利用するデメリット】

  • 費用がかかる

※こちらの記事もおすすめ:退職代行利用のデメリットとは?利用がおすすめの事例もご紹介!

退職代行サービスを利用した方がいいケース

基本的には自分で退職を伝えるのがベストですが、以下のような場合は退職代行サービスの利用を検討しても良いでしょう。

  • 自分から退職を切り出しにくい
  • 引き止められる可能性が高い
  • 退職を1度拒否された
  • ブラック企業に勤務している
  • メンタルヘルスの問題を抱えている

退職代行サービスを利用する際の注意点

退職代行サービスを利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。サービス選定や会社側の対応、法的な問題など、さまざまな側面に注意を払う必要があります。以下では、特に重要な2つの注意点について詳しく解説します。

退職代行サービスの選定は慎重に行う

退職代行サービスには多くの新興企業が参入しており、サービスの種類も多様化しています。しかし、中には悪質な業者も存在するため、選定には慎重さが求められます。

安心できる退職代行サービスを選ぶポイントとしては、運営主体が弁護士や労働組合であること、実績や口コミが豊富であること、料金体系が明確であることなどが挙げられます。また、無料相談を利用して、サービス内容や対応範囲をしっかり確認することも重要です。

退職代行サービス経由の依頼は認めないと言われる可能性がある

会社側から「退職代行サービス経由の依頼は認めない」と言われる可能性がありますが、気にする必要はありません。従業員には退職の自由があり、退職の意思表示方法を制限することはできません。

万が一、拒否されるなどのトラブルに発展した場合、弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスを利用すれば、会社側と交渉をしてもらえます。一方、民間の退職代行サービスは「意思を伝達すること」に特化したサービスであることを理解しておきましょう。

退職代行サービスの運営元別の業務内容をまとめましたので、参考にしてください。

業務内容退職代行サービスの運営者
民間(一般)企業労働組合弁護士
退職意思を伝える
退職条件を交渉する×
有給取得を交渉する×
給与支払いを交渉する×
離職票等を請求する×
裁判に対応する××

民間企業が労働組合と「提携」することで「交渉可能」としている退職代行サービスも増えていますが、非弁行為に該当する可能性があるとも言われています。ここについては現時点で見解が分かれているため、不安がある方は、「労働組合運営」か「弁護士運営」の退職代行サービスを利用すると安心です。

まとめ

退職代行サービスは、自分で退職を伝えにくい状況の人にとって有効な選択肢となります。利用の流れ、メリット・デメリット、適した利用ケース、注意点などを理解することが重要です。

特に、サービスの選定には慎重さが求められ、弁護士や労働組合が運営するサービスを選ぶことで、より安全に退職プロセスを進められる可能性が高くなります。しかし、可能であれば自分で退職を伝えることが望ましいことも忘れないでください。

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株式会社Amazia Link

LogsFix編集部

本記事はLogsFixを運営する株式会社Amazia Link編集部が企画・監修を行いました。