退職代行サービスを利用したその後は?流れや転職への影響を解説

更新日:

公開日:2024.10.16

退職代行サービスを利用した後、どのような手続きや流れがあるのか気になる方も多いですよね。

本記事では、退職代行サービスを利用した後の具体的な流れや、その後の転職への影響について詳しく解説します。また、退職後に必要な健康保険や年金、失業手当などの手続きについても触れ、スムーズに新たな一歩を踏み出すためのポイントを紹介します。退職代行サービスを利用した際によくある質問にも回答しているので、安心して次のステップにすすみましょう。

退職代行サービスを利用したその後の流れ

退職代行サービスを利用して会社との関係を断ち切ったあとも、いくつかの手続きが必要となります。主に備品の返却や、必要書類の受け取りなどです。

以下が、退職後の主な流れになります。

  • 会社の備品を返却する
  • 会社から退職書類が届く

これらの手続きを確実に行うことで、スムーズに次のステップへ進むことができます。

以降では、それぞれについて解説します。

1.会社の備品を返却する

退職が決まったら、まず会社から借りていた備品を返却する必要があります。これは退職代行サービスを利用した場合でも例外ではありません。会社の所有物をきちんと返却することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

一般的に返却が必要な備品には、社員証、制服、パソコンなどの電子機器、会社の携帯電話などが含まれます。また、健康保険証も会社を通じて加入している場合は返却する必要があります。これらの物品は、最後の出勤日までに郵送で返却しましょう。

返却物の確認を怠ると、後日会社から連絡が来る可能性があります。そのため、事前に返却すべき物品のリストを作成し、漏れがないか確認するとよいでしょう。

2.会社から退職書類が届く

退職手続きが完了すると、会社から必要な退職書類が送られてきます。これらの書類は、今後の手続きや転職活動に必要となる重要な書類です。通常、退職日から1週間〜2週間程度で届くことが多いですが、会社によって多少前後する場合があります。

退職書類が届いたら、内容を確認し、不明な点がある場合は、退職代行サービスに相談するか、直接会社の人事部門に問い合わせることをおすすめします。

退職時に会社から受け取るもの

・離職票(1.2)
・雇用保険被保険者証
・源泉徴収票
・年金手帳(基礎年金番号通知書)

これらの書類は、失業保険(正式名称:雇用保険)の申請や次の就職先での手続き、確定申告などに必要となります。紛失しないよう大切に保管しておきましょう。

特に離職票は、ハローワークでの失業手当の受給手続きに不可欠な書類ですので、受け取ったらすぐに内容を確認することをおすすめします。

参照:厚生労働省「雇用保険受給の手続きに必要な書類について」

3.退職代行サービスに連絡をする

退職書類の受け取りが完了したら、最後のステップとして退職代行サービスに連絡をしましょう。この連絡は、退職手続きが無事に完了したことを報告し、サービスの終了を確認するために必要です。

多くの退職代行サービスは、クライアントの退職手続きが完全に終了するまでフォローアップを行います。連絡をすることで、もし何か問題や疑問点があれば、担当者からアドバイスを受けることができます。

また、この時点で退職後の生活や転職活動についての相談をすることも可能です。退職代行サービスによっては、転職支援や キャリアカウンセリングなどの追加サービスを提供しているところもあります。必要に応じてこれらのサービスを活用することで、スムーズに次のキャリアに進むことができるでしょう。

退職代行サービスを利用したことは転職に影響する?

退職代行サービスを利用して会社を辞めた後、多くの方が「この経験が次の就職先に悪影響を与えないだろうか」と不安を感じるかもしれません。しかし、結論から言えば、退職代行サービスを利用したことが転職に悪影響を及ぼす可能性は極めて低いと言えます。

なぜなら、まず第一に、2005年に施行された個人情報保護法により、企業が前職の情報を無断で調査することが難しくなりました。以前は「前職調査」と呼ばれる慣行があり、中途採用の際に応募者の前職での勤務態度などを調べることがありましたが、現在ではそのような調査を行う企業は大幅に減少しています。

さらに、退職代行サービスを利用したという事実自体は、個人の秘密に属する情報です。退職代行業者は顧客のプライバシーを守る義務があり、利用者の情報を外部に漏らすことはありません。そのため、あなたが積極的に開示しない限り、転職先の企業が退職代行サービスの利用を知る可能性は極めて低いのです。

仮に退職代行サービスの利用が判明したとしても、それ自体が転職の障害になることはほとんどありません。多くの企業は、応募者の能力や経験、そして今後の可能性を重視しており、過去の退職方法にそれほど注目しません。むしろ、困難な状況を乗り越えて新たなキャリアにチャレンジする姿勢を評価する企業も少なくありません。

したがって、退職代行サービスを利用したことを過度に心配する必要はありません。

むしろ、この経験を前向きに捉え、新しい職場で自分の能力を最大限に発揮することに集中しましょう!

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退職代行サービスを利用後、退職者が不安に思いやすいポイント

まず、多くの人が気にするのは好条件の会社に転職できるかどうかという点です。退職代行サービスを使ったことで、次の就職先が見つかるかどうか心配になるのは自然なことです。しかし、実際には転職市場は活況を呈しており、dodaの調査によると、2024年8月の転職求人倍率は2.83倍でした。これは1人の求職者に対して、2.83件の求人があることを意味しており、比較的転職しやすいことがわかるでしょう。

次に、転職後の生活に関する不安も大きいでしょう。収入が途絶えることで、当面の生活費をどうするかという問題は多くの人が直面する課題です。しかし、失業保険という制度があることを覚えておきましょう。条件を満たせば、以前の給与の50〜80%程度の金額を一定期間受け取ることができます。

失業保険の受給条件

・雇用保険に加入し、保険料を支払っていること
・離職前の2年間に、合計して12カ月以上の被保険者期間があること
(特定受給資格者などの場合は、離職前の1年間で6カ月以上が必要)
・働く意思があり、積極的に求職活動を行っていること

※出典:厚生労働省 雇用保険事務手続きの手引き 第13章「失業給付について」

また、「退職代行サービスを利用したことで会社から訴えられないだろうか」といった法的なリスクについても懸念する方が多いようです。しかし、通常の退職であれば、訴訟リスクは極めて低いと言えます。退職は労働者の権利であり、退職代行サービスの利用自体が違法行為とはなりません。

退職後の手続きに関する不安もあるでしょう。健康保険や年金の切り替え、税金の手続きなど、これまで会社が管理していた部分を自分で行う必要が出てきます。もし、これらの手続きに不安を感じているなら、手厚いサポートを受けられる退職代行サービスの利用をおすすめします。

さらに、人間関係の変化に対する不安も挙げられます。退職代行サービスを利用することで、元の職場の人々との関係が悪化するのではないかと心配する方もいます。しかし、退職は個人の選択であり、多くの場合、周囲の理解を得られるものです。

必要以上に不安を抱かず、退職代行サービスのサポートを活用しながら、落ち着いて状況に対応していきましょう。

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退職代行サービスの利用で後悔しないためのポイント

退職代行サービスを利用する際には、いくつかの重要なポイントに注意を払うことで、後悔のない円滑な退職プロセスを実現できます。

以下が、特に重要な3つのポイントです。

  • 自分に合ったサービスを選ぶ
  • 違約金の有無を把握しておく
  • 有給休暇の残日数を確認しておく

これらに気を付けることで、退職後の生活やキャリアにスムーズに移行することができるでしょう。

それぞれのポイントについて、なぜ重要なのか、どのように対応すべきかを解説します。

自分に合ったサービスを選ぶ

退職代行サービスを利用する際、最も重要なのは自分に合ったサービスを選ぶことです。各サービスにはそれぞれ特徴があり、提供される内容や料金体系が異なります。自分のニーズに合わないサービスを選んでしまうと、必要なサポートが得られなかったり、予想外の費用がかかったりする可能性があります。

まず、退職代行サービスを選ぶ際は、そのサービスの運営元の情報をしっかりと確認しましょう。信頼できる会社が運営しているかどうかは、サービスの質に大きく影響します。また、料金体系も重要なポイントです。追加料金が発生する可能性がないか、明確に料金が提示されているかを確認することで、後々のトラブルを避けることができます。

さらに、そのサービスの評価や口コミも参考にするとよいでしょう。過去の利用者の体験談を読むことで、サービスの実際の質や対応の速さなどを知ることができます。

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違約金の有無を把握しておく

退職代行サービスを利用する前に、必ず確認しておくべき重要なポイントの一つが、違約金の有無です。多くの場合、退職代行サービスを利用すること自体で違約金が発生することはありませんが、契約内容によっては違約金を求められる可能性があります。

例えば、入社時に交わした契約書に「入社から一定期間内に退職した場合は違約金を支払う」といった条項が含まれていることがあります。しかし、労働基準法第16条では、労働契約の不履行に対する違約金を定めることを禁止しています。このような違約金条項は無効であり、労働者は違約金を支払う必要はありません。

事前に違約金の有無について把握しておくことで、違法な請求を受けた際にも冷静に対応できます。もし違約金を請求される可能性がある場合は、退職代行サービスに相談し、適切な対応方法を検討することが重要です。

有給休暇の残日数を確認しておく

有給休暇は労働者の権利であり、適切に消化することで金銭的なメリットを得られる可能性があります。そのため、退職代行サービスを利用する前に、自分の有給休暇の残日数を正確に把握しておくことが重要です。

自分の有給休暇の残日数を確認するには、給与明細を確認するか、人事部門に直接問い合わせるのが確実です。中には、ブラック企業のように正確な有給休暇の日数を教えてくれない会社もあります。労働基準法では、残日数を正確に教えないことは直接的な違法行為には該当しませんが、適切な対応とは言えません。

有給休暇の残日数を把握しておくことで、退職日を調整したり、有給消化を交渉したりする際の材料になります。例えば、残っている有給休暇の日数に合わせて退職日を決めることで、より有利な条件で退職できる可能性があります。有給休暇の消化交渉はトラブルに発展する可能性があるため、退職代行サービスを利用する場合は、弁護士法人が運営しているサービスを利用することがおすすめです。

このように、有給休暇の残日数を事前に確認しておくことで、退職時により多くの選択肢を持つことができ、後悔のない退職プロセスを実現できるのです。

退職代行サービスを利用した後に必要な手続き

退職代行サービスを利用して無事に会社を辞めることができた後、いくつかの重要な手続きがあります。

以下は、特に重要な4つの手続きです。

  • 健康保険の手続き
  • 年金の手続き
  • 税金の手続き
  • 失業手当の手続き

以降では、それぞれについて解説します。

健康保険の手続き

退職後、まず取り組むべき重要な手続きの一つが健康保険の切り替えです。会社を辞めると、これまで加入していた健康保険から脱退することになるため、新たな保険に加入する必要があります。

健康保険の切り替え方法には、主に3つの選択肢があります。

一つ目は、国民健康保険に加入する方法です。この場合、退職日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村の役所で手続きを行う必要があります。二つ目は、家族の健康保険の被扶養者になる方法です。配偶者などが会社員の場合、その方の扶養に入ることができます。この手続きは、家族の勤務先で行います。三つ目は、これまでの健康保険を任意継続する方法です。この場合、退職日の翌日から20日以内に、元の健康保険組合に申請する必要があります。

いずれの方法を選択する場合も、手続きの期限が設けられていますので、退職後はできるだけ早く対応することが大切です。健康保険の手続きを怠ると、万が一の際に高額の医療費を自己負担しなければならない可能性があります。

年金の手続き

退職後、年金に関する手続きも忘れずに行いましょう。特に、すぐに次の職場が決まっていない場合は、国民年金への加入手続きが必要となります。

国民年金への加入手続きは、退職から14日以内に行う必要があります。手続きは、お住まいの市区町村の国民年金窓口で行います。必要な書類は、年金手帳(もしくは基礎年金番号通知書)と離職票です。これらの書類を忘れずに持参しましょう。

もし、家族の扶養に入る場合は、国民年金の手続きは不要です。ただし、扶養に入る手続きは必要となりますので、家族の勤務先に確認してください。

年金の手続きを怠ると、将来受け取る年金額に影響が出る可能性があります。また、未納期間が発生すると、後々追納しなければならなくなる可能性もあります。退職後の生活設計のためにも、速やかに手続きを済ませることをおすすめします。

税金の手続き

退職後は、税金に関する手続きも必要です。特に、所得税と住民税について注意が必要です。

所得税については、年内に転職する場合は、源泉徴収票を新しい勤務先に提出するだけで問題ありません。しかし、年を越して転職する場合や、しばらく転職しない場合は、確定申告が必要となります。確定申告の期間は通常、翌年の2月16日から3月15日までです。

住民税については、退職のタイミングによって対応が異なります。1月から5月に退職した場合は、役所から送られてくる納税通知書に従って分納することになります。一方、6月から12月に退職した場合は、最後の給与や退職金から一括で天引きされるのが一般的です。

税金の手続きを適切に行わないと、後々追徴課税されるリスクがあります。また、住宅ローンの控除や生命保険料控除など、還付を受けられる可能性もあるため、しっかりと確定申告を行うことをおすすめします。

失業手当の手続き

退職後、すぐに次の仕事が決まっていない場合は、失業手当(正式名称は基本手当)の申請を検討しましょう。失業手当は、一定の条件を満たせば受給できる権利です。

失業手当を受給するためには、ハローワークでの手続きが必要です。具体的には、離職票を持参し、求職の申し込みと失業の認定を受けます。失業手当の受給には、離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あることが条件となります。

手続きのタイミングは重要です。自己都合による退職の場合、申請から3カ月間は給付制限期間となります。そのため、退職が決まったら、できるだけ早くハローワークに行き、手続きを始めることをおすすめします。

失業手当は、前職の給与や年齢によって金額が異なりますが、おおよそ従前の給与の50%〜80%程度が支給されます。この支給により、次の仕事を探す間の生活を支えることができます。ただし、受給期間は原則として離職日の翌日から1年間となっているので、計画的に活用し、転職活動を進めることが大切です。

退職代行サービスに関するよくある質問

退職代行サービスを利用する際、多くの方がさまざまな疑問や不安を抱えています。

ここでは、特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。これらの情報を参考にすることで、退職代行サービス利用後の流れをより明確にイメージし、安心して次のステップに進むことができるでしょう。

Q.退職代行サービスを利用した後に会社から連絡がくることはある?

退職代行サービスを利用した後、基本的に会社から直接連絡が来ることはありません。退職代行業者が会社側に対して、依頼者への直接連絡を控えるよう伝えるためです。しかし、退職代行会社の指示には強制力はなく、会社から退職者に直接連絡がくる可能性はあります。

そのような場合でも、退職者は対応する義務はありません。連絡があっても無視しても問題ありません。しつこく連絡が続く場合は、退職代行業者に相談するか、着信拒否設定をするなどの対策を取ることをおすすめします。

Q.退職代行サービスを利用しても給料は受け取れる?

退職代行サービスを利用しても、労働の対価として発生した給与を受け取る権利は失われません。労働基準法により、会社には従業員に対して給与を支払う義務があると定められています。退職の時期や方法を理由に、給与の支払いを拒否することはできません。

ただし、退職日が給与の締め日と一致しない場合は、日割り計算で給与が算出されることがあります。また、退職月の給与や退職金の支払いについては、会社の規定に従って行われます。これらの点については、退職代行サービスを利用する際に確認しておくとよいでしょう。

まとめ

退職代行サービスを利用することで、円滑な退職プロセスを実現し、新たなキャリアへの第一歩を踏み出すことができます。退職後の手続きや転職活動に不安を感じる方も多いですが、適切な準備と行動により、これらの課題を克服できます。退職代行サービスを利用した後も、必要な手続きを確実に行い、次のステップに向けて前向きに取り組むことが重要です。自身のキャリアプランを明確にし、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、より充実した職業人生を送ることができるでしょう。

株式会社Amazia Link

LogsFix編集部

本記事はLogsFixを運営する株式会社Amazia Link編集部が企画・監修を行いました。